凪待ちの作品情報・感想・評価

上映館(4館)

「凪待ち」に投稿された感想・評価

まめ

まめの感想・評価

3.0
みんな郁男にやさしくする理由は?様々な点で腑に落ちない。

途中から犯人わかったほどあからさま。そして、殺した理由がなくてチラシにも「なぜ殺したのか?」て書いてるくらいだから教えてほしかった。
役者の演技、撮影、編集、ライティング等全ての演出が奇をてらわず物語を語るという一点に集約されている感じがして好感が持てた。

あのおじいちゃんが何故赤の他人の為に自分の大切な物まで売り捌いて救おうするのかっていう動機の部分がピンときずらかったけど、何万人と死んだ東日本大震災の後で生きる価値の無いどうしようもないクズを救う事=全ての人間は平等に生きる価値があるという作品のメッセージを受け取って涙腺が決壊しそうになった。
東日本大震災の要素の散りばめ方が絶妙で説教くさすぎず、それでいてあの大震災後の今について思いを馳せさせられた。

あと宮崎吐夢演じるギャンブル中毒の小汚いおっさんが素晴らしかった。あのおっさんに対する眼差しこそがこの映画の良心を物語ってると思った
tanako

tanakoの感想・評価

4.2
人間臭さ全開の、クズの話。
変わりたいのに変われないもどかしさとかやるせなさを、見事に表現した脚本、そして演技だと思います。

殺人事件が本筋ではなく、悲劇を乗り越えて前に進む話、です。
まさに、凪待ち。


元々、香取慎吾の演技力の高さは認識していましたが、満を持しての、この役。
殺人鬼も、優しい良い人も、両方演じられる実力がある彼は、適役だったと思います。

願わくば、こういう良作邦画が、もっと増えますように。
「自分はクズだ…」
自分を卑下して言い訳を重ねることで、
自らと向き合うことから逃げてきた不器用な男。

失敗を繰り返すたびに自らに絶望しては、
人からの期待を裏切る自分を責め続ける愚かな男の
人生の贖罪と再生の物語。

自分を肯定出来ない人間は、
なぜ自分が人に赦されたのかわからない。
だからこそ、恐ろしくなって逃げ出すのだ。

凪をずっと待っていたはずなのに、
欲望の渦と悲痛な運命に巻き込まれ続ける。
でも、それは本当に大事な事から逃げ続けていたからなのかもしれない。

そんな男を待ち続け、許し続ける人々の尊さ。
家族の影が全く見えなかった郁男がはじめて「家族」になった帰り道。
これまで見せることのなかった溢れ出す感情を爆発させる姿は、
まるで自分を見ているかのようで涙が止まらなかった。

自らをクズだと思っている全ての人の心に突き刺さる人間ドラマがここにある。
いやあり得ない!って思うところがいくつかあったけど…冷静に考えてみると。
でもそんなの気にする隙を与えない、説得力のある映画だった。

それはきっと、演出・脚本・お芝居が素晴らしいからだと思う。ずっと冷めることなく作品の世界に浸っていれた。

物語の軸は、フライヤーにある「誰が殺したのか?なぜ殺したのか?」には重きを置いてない。「なぜ」の部分は触れてもない。

アルコール、ギャンブル、薬物、いろいろ依存症があるけど、止めようと思っても止められない人は、みんな郁男みたいに弱い人間なんだろうな。
葛藤しては負け、を繰り返してどんどん苦しくなる。自己嫌悪に陥る。
結果的にやってることは最低のクズだけど、人としての思いやりや正義が無いわけじゃない。

そういう難しい部分を上手く描いているのがやっぱすごい!
慎吾ちゃんすごい、白石監督すごい。
人間くさい映画、もっと撮ってほしい。


そんで、、、
リリーさんは何をしてくれているんだホントにもう。異彩を放っていたから、序盤で気づいたけれども。怪物です。
嗚呼、素晴らしき屑映画。
ヒモである郁夫が、妻を殺害されることにより、元々のギャンブル中毒が加速し自分も残された家族も崩壊しかけていく話。

この映画の中で何度涙ぐんだことか。途中涙ぐむだけでなく年甲斐もなく垂れ流してしまった。

郁夫は根は優しく、身内に愛していて、人から好かれ、仕事もできる人間なのだが、少しだけ社会性が低い。他人にも自分にも甘い。郁夫の身内に対する話し方は眠そうで優しい。
普段優しいちょっと癒しキャラのようなポジションを確立しておくと、少しくらいダメでも周りからまぁあいつだからなと大目に見てもらえることがある。ヒモとか人たらしのスキルのひとつである。

屑が自己嫌悪して負のスパイラルにハマっていく様子が鮮明に描かれていた。
妻の喪失をキッカケに立て直そうと思っていたものが崩れていく。
俺はダメな人間だと郁夫が直接口にしたり書き出したりする場面も多く、会話の後や、ギャンブルに熱中したり、喧嘩に発展する場面でもことが終わったあとに死んだ方がいいダメな人間だという雰囲気が顔や動きから漏れ出ている。

本当に腐って祭り会場でチンピラ相手に暴れ回るシーンは完全なる自傷で、涙無しに見られない。中年同士で抱き合い「大丈夫だから」と励まされる場面は絵面が情けなさすぎて最早感動の域。(その後の場面展開が地獄となるのがまた良い)また、演じてる香取慎吾がキ×ガイおっさん呼ばわりされてるのも味わいがある。
そこまで落ちる?落ちるのか~ってところまで郁夫が落ちてくれるので楽しいといったらない。

香取慎吾の演技と雰囲気が素晴らしかった。どっしりした体つきに汚れた服に死んだ目をして、のらりくらりと話す様子は、アイドルとは真逆の下級労働者であった。また郁夫に粘着する警察、地元民、ヤクザなどのネチネチした演技も素晴らしかった。白石監督の描く悪人と暴力には安定感がある。

ヤクザやチンピラとの関わりの中で郁夫が破壊を繰り返し、義父や義理の娘とは距離を取ろうとする。家族が優しすぎて気持ち悪くなってしまった。郁夫もおそらくそうであり、優しさに感謝しつつひいているのである。

人の優しさがなぜ怖いのかというと、自分のようなクズに人が優しくする意味がわからない、見返りはできない、そして死にたいと思ってるからです。だから優しくしてくれるような人間のことはどんどん避けていくスタイル。

潮の匂いを感じる湿った少し退廃した町の様子、舞台が東北大震災被災後の町ということで、侘しさと回復を感じた。街を取り囲む海はどこまでも広く、最後は優しく凪いでいた。
Rinko

Rinkoの感想・評価

3.0
ー俺はどうしようもないろくでなしですー

香取慎吾がギャンブル依存症の主人公を熱演。アイドルのオーラはそこには無く
彼が演じた郁男のどうしようもなさが
本当に本当に堪らなかった…

人生をやり直すために石巻へやってきた郁男がギャンブルの誘惑に負け、
追い討ちをかけるように恋人を殺され、
どん底へ堕ちていく…

大きな身体を震わせながら
子どものように泣きじゃくる郁男
そんな彼に優しく手を差し伸べる人の優しさに貰い泣きしてしまった

【恋人を誰が殺したのか?】という事よりも、人間の弱さ、脆さ、変わることの難しさがテーマの作品なので、サスペンスを期待して観ると肩透かしにあってしまうかも。

白石作品ファンで今回観に行きましたが
今作はバイオレンス、暴力シーンは抑えめ
「狐狼の血」ほどの泥臭さや振り切り感はなし逆にそのギャップが「切ない暴力」という感じで良いなぁと思いました。
ekikawa

ekikawaの感想・評価

4.0
…だから新聞記者は白石監督が撮ればが良かったのだ
そら

そらの感想・評価

3.8
今年の邦画の中では白眉の傑作
香取慎吾のギャンブル狂いが自傷行為に見えて本当に見るのが辛くて仕方なかったです 子供のように泣きじゃくるところで自分も泣きました

あとリリーフランキーが色んな意味で便利屋すぎる…
のん818

のん818の感想・評価

3.8
凄いものを見た。ヒリヒリする。とても。
主人公はどうしようもないクズで八方塞がりで全方位救いがなくて。スーパーヒーローもいなければ地球が消滅もしないし怪獣が全てをぶっ壊してもくれない。
それはダメだよ!そっち行っちゃダメだよ!と思いながら、でもそれは私にも起こりうる、ほんの半歩ズレてたら起こるかもしれない日常にゾっとした。大切な誰かを突然失って、あの時ああしてれば、ああしなければ、自分のせいで、と永遠に自分を責め続ける。
映画はエンターテイメント!主義なので、日常では起こり得ないものが好きなんだけど(銃撃戦とかカーチェイスとか宇宙人とか)、凪待ちは日常に近すぎて本当に、本当に、辛い、とは違う、身につまされる、というか、主人公のようにならない自信は、1ミリもない。
そしてエンドロールで嗚咽。海に沈んだ日常に。
リストラされてんのにヘラヘラして馬鹿なおっさん、とか、そんな男と一緒になるなんて馬鹿な女、とか、親の病気で地元に戻るなんてありえん!とか、田舎の嫌なとこ丸出しだわー、とか思ってたんだけど、全部自分に起こり得るかもしれないことだ。大切な人が突然いなくなることも含め。
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