なかなか面白い。
ナチスのソビボル絶滅収容所で囚人が反乱し、数百名が大脱走した事件を率いたユダヤ系ソ連軍人アレクサンドル・“サシャ”・ペチェルスキーの、蜂起までの22日間を描くロシア映画。
この人ミンスクでも脱走を試みて失敗し、ソビボルへ移送されてる。
収容所内に密かに作られていた抵抗組織から誘われても、それがトラウマになって決断するまで時間がかかる。
ユダヤ人も一枚岩ではなく、ロシア人もいればドイツ人もいて、日和る者、抗う者、諦める者、中には生き残るため敵であるナチスの側に立つ者も。
ナチス軍人たちが徹底的に醜悪に描かれているので、ユダヤ人たちにどっぷり感情移入。
クライマックスでは彼らの報復に思わず喝采すると同時に、脱出の希望とは裏腹にバタバタと銃弾に倒れてゆく現実に無情を感じる。
実際終戦まで生き残ったのは50人程度らしい。
サシャに想いを寄せるルカとのエピソードが、いいアクセント。
演じるフェリス・ヤンケリが凄く美しい人で、二人のシーンはやたら文学的なムードが漂う。
因みにサシャのことは80歳で死去するまで知られていなかったって言ってるが、それは旧ソ連だけで西側では割と有名な話。
実際本人の存命中に「脱走戦線」としてテレビ映画化されていて、ゴールデングローブ賞もとってる。
こちらではルトガー・ハウワーがサシャを、ジョアンナ・パクラがルカを演じた。
主役はどちらかと言えばアラン・アーキンだけど。