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ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲のJIZEのレビュー・感想・評価

3.8
賛:笑匠ローワン・アトキンソンの抱腹絶倒な破天荒なる喜劇。最先端のスマホや小型ツールなど回りくどい武器は気に入らず必要なし。昔懐かしのべたべたなアナログの方法で国家をも揺るがす境界線ギリギリの無責任なボケの応酬がイチイチ不謹慎ながらも苦笑できてしまう。序盤の夜宴描写やリアルVR描写など現実で絶対に誰もしない言動をナチュラルに主人公ジョニーが体現するためそこだけで肝心のストーリー関係なく元が十分取れる王道コメディとして成立していた。時系列がほぼ無関係な造りも振り返れば良かった。あざとくも緩々な雰囲気でここまで興味を牽引できる手腕はお見事に他ならない。

否:物語が超無理やりかつあってないような代物のため爆笑のオチありきでバーター的に用意された構成は否めない点がある。悪役に至っても手抜き感が拭い切れず真面目な会話シーンになるとむしろ退屈な現象がやや生じる。また偶然が功を成して場を突破するシークエンスも何回やるんだよ!という奇跡につぐ奇跡の往来は人によってはクドく感じてしまうかもしれない。歴代のボンドガールことオルガ・キュリレンコが女スパイ役としてオマージュ的に本作に出演してたり落差や緩急の効かせかたもスピード感が描写毎にまちまちで賛否を問う映画かと。

今回、過去シリーズは未鑑で最新作から観たが主人公がアストン・マーチンを走らせたり旧式なスパイガジェットが活躍する辺りなど"007チック"なツボを押さえつつも爆笑の渦に飲み込まれる感じはさすがという安定感が世界観にある。アトキンソンの表情を歪めるような顔芸も未だに健在している点は素直に熟練感があり観てて普通に何回か吹き出したシーンもありました。真面目な話がすぐ逸れてギャグへ昇華させる手腕も相変わらずお見事だったんじゃないか。ただ意外にも物語は万人に刺さり家族や恋人と笑い合いつつお手軽に見れる痛快作でした。
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