からかす

ドクター・スリープのからかすのレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
3.0
本作の原作は未読、前作「シャイニング」は原作は読んだし
キューブリック版映画も観賞済み。

キューブリック版「シャイニング」が監督の個性が強すぎて
作者S・キングの意図するものとかけ離れてしまい、
しばしばキング自らキューブリック版「シャイニング」を批判し
一方で世間的にも一定以上の評価を受けている上でのこの続編企画。
「シャイニング」という特殊な力をよりフィーチャーした上で
キューブリック的映像感を残した形になっており、
ある意味キューブリック版「シャイニング」を原作通りの結末に
落とし込むための続編の様相を呈している。

でかい音+ビックリ箱=恐怖と勘違いしてるような
なんちゃってホラー演出ではなく
前作同様じわじわとした恐怖表現であることには好感を持ちたいが
「シャイニング」とほぼ同じ怨霊の造形で怖がらせようというのは
さすがに現代基準では無理がある。
(特にあの双子はポップアイコン化しており恐怖が発生しようがない)

特殊な力「シャイニング」を巡る戦いを描く上で
新たな脅威も本作で登場するのだが、
困ったことにこれがあまりにも弱いのである。
一方で特殊な力を持つ少女アブラはすごく強いのである。
悲しい出来事が起こっても不屈の精神ですぐに立ち上がるものだから
脅威がちっとも脅威になっていないのが辛いところ。
それもそのはずで特殊な力「シャイニング」を巡る争い、
怨霊ホテルの強大なパワーの描写、ダニーの父との対峙を
描くためには新たな脅威なんかで時間を食ってられないのである。

要はアイコン的要素としてのキューブリック版「シャイニング」と
S・キングのやりたい特殊な力「シャイニング」にまつわる話を
まぜた結果、
すごくどっち付かずな中途半端な仕上がりになってると思う。
152分とホラー映画にしては長尺な割に
物語への興味を持続させたという点で
決して悪い出来の映画とは思わないものの
「そんなにキューブリック版シャイニングが嫌いなのかS・キング」という感想。

前作「シャイニング」である意味一番印象的なダニーの母親役、
本作では当然別の人が演じられていて顔は全然似てないんだけど
喋り方はすごくそっくりで、それが一番感嘆してしまった。
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