朝倉

ドクター・スリープの朝倉のレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
3.4
「シャイニング全員集合!!!!!!」
”湯上りばあちゃん”
”一張羅ワンピースの一卵性双生児”
”おっちゃん!だから頭から血出てっから!おっちゃん!”
40年前、数多くの人たちの脳にこびりつかせた、圧倒的存在感を放つキャラクターたちが2019年蘇ります…

1980年公開『シャイニング』の続編として製作された今作。
そりゃそうか…あれだけの魔力を持った”シャイニング”という能力が、オーバールック・ホテルが、あれで終わりなわけがないよな黙ってないよな…
シャイニングを見た誰もが、数々の不気味な演出とキャラクターたちの残した後味に眉をひそめながらも、エンドロール中に脳内を回想してはその謎に頭を悩ませたのではないでしょうか。なぜ彼らは生きる人間たちを誘惑してくるのか、その答えが分かります。
若きプルシェンコ並みのブロンドボブヘアーを揺らして必死に三輪車を漕いでいたダニーはあの後どうなったのか、どんな日々を過ごしたのか、あの事件後の彼の人生を知るとともに、ダニーがどのようにしてシャイニングの力とともに生きていったのかが分かります。
いわば、今作は40年後に行われる『シャイニング』の答え合わせであると思います。

ダニーがいかにシャイニングの力に苦しめられてきたのか、前作未鑑賞の方も本作を見たならば一瞬で理解できると思います。そしてそれに苦しめられているのは彼だけでないこと、昔の話ではないこと、これも知ることになります。オーバールック・ホテルはすでに閉鎖しているはずが、そのホテルとは無関係の”ある女の子”が現代で、かつての幼きダニーと同じ目に遭っている。それも彼よりも猛烈に強力なシャイニングの力を持った。そんな”ある女の子”の助けを呼ぶ叫びを、同じ力によって感じとったシャイニングの先輩であるダニーおじさんが駆けつけることによって、40年前の謎と今もなお力を持ち続けるシャイニングという超能力の全貌が暴かれていきます。

サスペンスとして、ホラーとしてももちろん楽しめます。そりゃ天下のスティーヴン・キングさんによる作品なので。
ですが!!!恐怖で鳥肌は立つは過激描写で喉元が疼いていたのも束の間、最後にはダニーおじさんから勇気と自信を頂けます。ああ、自分は自分に誇りを持っていいんだ、ありのままに生きていっていいんだ、そう思わさせてくれました。だって私の中にはダニーがいるから。きっと最後には皆さんそう感じると思います。大きな恐怖を超える大きな愛を教えてくれた、冷たそうで実は暖かい作品です。

前作を見てからでも見てなくても、十分楽しめます。
ですが、絶対に前作『シャイニング』は見てください。
原点を知ることで、見え方がまるで変わります。


(にしても、ダニーがあの絨毯の上を三輪車で駆け回る時の、車輪の音はいつ聞いてもドキドキゾクゾクさせますよね「コロコロコロコロ〜カタッコロコロコロ〜」)
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