セッキー元映写技師

ドクター・スリープのセッキー元映写技師のレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
3.3
公開から大分経ちましたが、やっと前作を見直す事が出来き、観に行けました。

今回『シャイニング』を見直して思いましたが、やっぱり名作はいつ観ても面白いですね。今回初めて見た妻も満足していたようです。

という事で続編にあたる本作を観ての感想ですが、まず、ジャンルが変わっていた事に驚きました。

『シャイニング』はホラーですが、本作は超能力もの。

やはり『X-MEN』を引き合いに出す方が多いようですが、僕は『ミスター・ガラス』や『アンブレイカブル』のような、心に負った傷が重要なモチーフになるシャマラン作品を想起しました。

ジャンル感の変化からかわかりませんが、古くからのファンへの目配せも、オヤジ接待レベルを『スターウォーズ/フォースの覚醒』が100だとすれば、本作の親父接待レベルは65ぐらいでしたね。
(『ブレードランナー2049』は90)


冒頭、前作からのその後が描かれますが、料理長の黒人のおじさんが、メンターとして死してもなお、ダニーに寄り添い続けていた事にジーンときます。

ダニーは彼から生きる術を授かるんですね。

時は経ち、三輪車に乗っていたダニーも、40代のおっさんに。
心にトラウマを抱えたダニーは酒と喧嘩に溺れる放蕩の日々を過ごしているんです。
自分の能力を隠しながら、酒に逃避するダニーがなんとも切ない。
まぁ、父親に斧で襲われる体験をして正常に育つ方がおかしいですが。

これを演じるユアン・マクレガーですが、流石の自堕落演技。
というか、近作はそんな役柄ばっかりですね。

そんなダニーは断酒会に参加しどうにか、まともな社会生活を送れるまで回復します。

物事は良き方向に向くかと思いきや、各地にダニーと同じ超能力を持った人々現れます。

中には悪の超能力集団が存在し、彼らは人の生気を吸って永遠の若さを手に入れようとしているんです。

なんか、アメコミみたいな感じになってくるんですが、この世界観だったら『シャイニング』での怪奇現象にも納得ができ、トリックの種明かしを見ているような気分になりました。

で、その悪の集団のボスを演じるのが、『ミッション:インポッシブル』シリーズでお馴染みのレベッカ・ファーガソンなんですが、とにかく強そう。アベンジャーズのスカーレットウィッチを思わせる妖艶さとキレたらやばい感があります。
レベッカ・ファーガソンは綺麗だけど、なんか見た目が恐いですね。

このレベッカ・ファーガソン扮するローズは、アブラという12歳の女の子の生気を狙います。アブラは相手の頭の中には入ったり、サイコテレキスで攻撃したり、凄い能力の持ち主なんです。

「この子の生気吸ったらすごいんちゃうん?」ということでローズに狙われるんですね。

そして話はダニーとアブラが協力して、悪の超能力集団と戦うという展開になってきます。
このあたりは、子供と大人のバディ映画という文脈で、『レオン』を想起しました。

そして、ダニーが悪の超能力集団との最終決戦場に選ぶのが、前作での舞台になった、因縁の雪山のホテルなんです。
最強の悪霊を味方につけて、悪の超能力集団と戦うという作戦です。
この、今の自分を作った原点を決戦場に選ぶというあたりは『007/スカイフォール』を想起しました。

過去のトラウマに立ち向かうという意味もありますので、これであがらないわけがない。また雪山のホテルに戻ってからは懐かしいシーンの連続で、とても胸が熱くなりました。

ダニーがあれからの日々をどのように過ごし、あの凄惨な出来事にどのように折り合いをつけるかが、見所になっていきます。

ダニーは酒で辛い過去のトラウマから逃避していましたが、考えてみれば斧で襲ってきた父親もうまくいかない現実から酒に逃げていましたよね。


自分の超能力=才能を隠しながら過去に囚われて生きてきたダニーと、小説家で大成することを夢見ながら、結局はフィクションの世界に逃げた斧親父、どちらも人間の本質を語っているようです。


日々に輝きがなくなった時、現実という鋭い斧は我々に襲いかかってくるのでしょう。