April01

ドクター・スリープのApril01のレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
3.5
キングの原作「シャイニング」(1977年)
キューブリックの映画「シャイニング」(1980年)
キングの原作続編「ドクター・スリープ」(2013年)
本作「ドクター・スリープ」(2019年)
という4つの作品として頭の中を整理した方がいいかも。

本作の情報を初めて知った時の正直な感想は「どうするの?🤔」の一言。
有名な話ながら、キングの原作とキューブリックの映画は物語も解釈も別物になっているわけで、キングは当然キューブリック版にご不満。
だから続編はキングの原作ファンかつキング本人が満足するものでなければならない一方、映画として伝説的名作となっていてファンも多いキューブリック版を無視できないよね?という意地悪な気持ちが湧いたから。

そういう前置きがありながらの本作、かなり上手く中間地点に着地させてると感じる。
特に終盤の展開は、キューブリック映画のビジュアルを混ぜて、オーバールックホテルを舞台にしながら、乱暴に言ってしまえばキューブリックが完全に無視して切り捨てたはずの原作「シャイニング」に描かれる父子の人間ドラマをしっかりと復活させている。

ただし、総評的に傲慢ながら言ってしまえば、キューブリックが謎のように残したホラー的に美しき映像を、こんな風に説明して欲しくなかったかな。双子、237号室、老婆、さらには父ジャックが狂気に向かう理由を可視化してしまって。。ビジュアルを借用して、ミステリアスな要素を違う文脈に当てはめてしまった感が否めない。
でもそのおかげで原作のテイストを取り戻した!ということだから、この絶妙な着地の仕方は本当に素晴らしい。この難しい挑戦をしてくれたからこそ冒頭の過去作品を改めて再考するきっかけにもなる。
自分としては、やはりキューブリックの異次元な才能に想いが巡る。
April01

April01