ちろる

僕はイエス様が嫌いのちろるのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
3.8
なんて生き生きとした嫌味のない子供たちの姿!
押し付けがましくなくて、日本人にすんなり入ってくる宗教についてのお話。
ファンタジーとリアリティのバランスや、行間のある描写がどれもとても丁寧でじんわり後から後から心に響く。

次々良いことがあるのは、僕に神様が付いているから。
神様は何でも僕の願いを叶えてくれる。

不安な気持ちでいっぱいの少年の想いを支えるような小さなおっさん・・・じゃなくてイエスさま。

転校生のゆらにとって唯一の頼みの綱だった小さいイエスさまはある時とんでもない試練を与える。

イエスさまなんて嫌いだ。
大嫌いだ!

出会ったばかりの神様、理不尽な出来事イエスさまに裏切られたと感じたゆらくん。

新しくできた親友
雪の中の流星群
サッカーボール
机の上に捧げた青い花
そして、障子の穴

少年ゆらの幼いこころに重なる経験が、彼の心を揺れ動かしていくわけだけど、彼を通して私たちは信仰について改めて考えさせられる。

キリスト教に限らず神様への信仰は、都合のいい時に願いを叶えてくれるドラエモンではない。
ゆらくんはあの出来事によってイエスさまを憎み、ぶつけようもない怒りは全てこのイエスさまに発散されて、そうしてやがてまた少しずつ歩き出す。
神様(イエスさま)の存在はそうやって世の中で出会う理不尽さへの怒りや悲しみを受け入れてくれる存在でもあるわけで、ゆらくんにとってはやっぱりイエスさまがいて良かった。

私も幼稚園からミッション系なので、当たり前のようにイエスさまやマリアさまに祈る毎日だったのだけど、基本神棚や仏壇は置いてるし何教でもない。
そうやって大人になって思うことは宗教との関わり合い方ってとても難しくて言い方は悪いけど、神様の存在ってうまく利用して適度な距離感を保たなければならないと思ってる。

いつも笑っていたとゆらくんが思っていた佐伯日奈子さん演じる和馬くんの母親が、ラストの方で見せた抜け殻のような表情。
ゆらくんはあれを見て何を感じたのだろうか?

障子から見えた景色はとても幻想的で、彼はもう一度イエスさまの事を思った。

悲しいことも楽しいことも全ては必然で、無駄なことなど一つもない。
ただそれを知るのはきっとずっと、ずっと先の事なのだろうな。