えむ

僕はイエス様が嫌いのえむのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
4.2
過去SNSに書いた感想をサルベージ。

地味で淡々としているけれど、良作です。

とても、とても静かで透明な物語。
透明だからこそ、そこには見えない様々な色が含まれているし、観る人の内面も映し出される気がする。

物語で紡がれる、少年の戸惑いも、疑いも、喜びも、葛藤も、信じる心も、哀しみも、怒りですら純粋で、その無垢さが真っ白な雪の世界とリンクする。

逆に、私たち大人は悩むのも、判断するのも、何でも複雑になってしまってるんだろうとも。

最後に張り替えられた真っ白な障子に穴を開ける、それがまたなんとも言えない気持ちになって涙する。

無垢な少年の心にひとつの穴が開き、の夜中のやり切れなさ、信じるだけでは変わらない救いのなさを知ったように見える。

これは目でも耳でもなく、心で観る映画。

上映館や回数が少ないのが惜しいけれど、趣のあるミニシアターが似合うタイプの作品です。
えむ

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