ホリ

僕はイエス様が嫌いのホリのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
4.0
ファーストシーンの画作りと意味合いの深さが非常に印象的。
ボケたお爺ちゃんが、ふすまに穴を開けようとするファーストシーン。
死に向かう人々…歳を重ねるごとに子供に戻っていくような感覚や行動の原理が掴めない感覚を抑えているように感じ取れた。
このお爺ちゃんが登場するのはファーストシーンのみで、ふすまに穴を開ける音のきっかけで黒みに繋がっていく。
その後、白い世界…雪が街中に積もった景色のドライブショットに繋がっていく訳だが、主人公となる小学生の男の子が、新たな環境に足を踏み入れようとする雰囲気が伝わってくる。

そして、主人公とその親が向かう先は、
ファーストシーンのふすまに穴を開けた空間に繋がっていく訳だが、学校の転向をきっかけに、親のおばあちゃんの家にお世話になる流れ(繋がり)を違和感なく表現している。

ファーストシーンから時が経過した設定で、主人公がこの家に足を踏み入れた時には、お爺ちゃんは既に亡くなっていることになっている。
しかしながら、死んだお爺ちゃんが隠した1000円札が後々見つかるシーン構成や、お仏壇に対して、見入るような…崇めるような登場人物たちの表情を見て、お爺ちゃんの生きていた空気感を、この空間で感じ取ることが出来る。

主人公の同級生が、後々亡くなってしまうシーンも作品終盤に導入されているが、その人が生きた証…亡くなった後のリアクションや空間作りが非常に上手い印象を受けた。
教室の1席に置かれている献花、
同級生の好きだった色…青色の花と元々あった献花を差し替えること、
穴がいくつも空いているふすま、
隠していた1000円札が見つかること、
インパクトは決して強くないが、その人が生きていた証を微力ながら残すような映像の質感が強く頭に残っている。
ホリ

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