ケタミン

僕はイエス様が嫌いのケタミンのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
3.5
静謐にして残酷。
走り出す少年の切なさと雪の白さが沁みた。
観終わってしみじみと、ため息。
いい映画だった。

いいんだけど、ひとつだけ納得できなかった。
イエス様がコミカルな動きをすること。それはこの超常現象が主人公の無意識や願望の投影であることを強く印象づける。そこにラストシーンとの矛盾を感じた。というか、そのせいでラストがややあざとく見えてしまった。
主人公には神様が見える、その事実だけで充分じゃないだろうか。コメディアンでなくコンテンポラリーダンサーでも起用して、主人公の思いとは無関係のアバンギャルドな動きをさせたらどうだったろう、などと想像した。
ビヨンドの存在に感情的表現は余計だと思う。
単に好みの問題なのかもしれないが。

しかし冒頭のシーンから、なにかただ者ではないセンスをうかがわせる映画であった。
ケタミン

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