かつきよ

海獣の子供のかつきよのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
3.6
方々でレビューや感想を見て、どんな映画かは大体想像していたのですが、大方想像通りの映画でした。

前半はストーリーがあり、ミステリ風に話が進んでいきますが、どんどん話が抽象的になっていって、後半は生命の神秘を映像表現にしましたって感じです。中盤からホラーみあるなと感じるけど、最後の方も大概怖い。テーマのせいでしょうがないんだけど、一歩間違えば完全にホラー映画。画面だけ見たらホラーなところあるし。

あのは個人的に、海の中の巨大生物、に対して恐怖心があって、海のどでかい化け物とか昔から苦手なことがあるんですが、映画館で見たら心臓潰れていただろうなと思うほどそこをぶっ刺してくる表現がありました。。。一方で映画館で見たかったな、溺れたかったなという表現もあり、絶妙なところ。

前半から後半へなるにつれどんどん哲学的なテーマになって行って、ストーリーどころじゃなくなってくる感じはペンギンハイウェイっぽいかも。

とりあえず、物語は、人間がそうやって区切りたくなるだけであって、この映画には存在しないと言っても過言では無い、、、気がする。むしろなんでそれっぽい流れ作ったんだろうってくらい、感性に呼びかけることに振っている映画だと感じました。

生命をテーマにした体感型哲学作品。私たちはどこからきてどこへゆくのか、、、絵画の名前じゃん。ずっと人類がテーマにしてきた神秘という幻想。そういうものを突き詰めて行った一つを映像体験にした、ひとつの形。

難解っていう意見が多いけど、難解っていうよりは、理解しようとすること自体が無粋というか、この映画の目的じゃ無い気がする。何度も言うけど、これは体感型の見るタイプの哲学みたいな。。。プラネタリウムみたいなものだと思います。星座っていう概念を作ったり、神話と結びつけたり、ストーリーを作っていくことはできるけど、星ってもともとそこに存在するもので、それ以上でもそれ以下でも無いじゃ無いですか。プラネタリウムって、そんな星空を、人間のエンターテイメントに特化させるために切り取って、組み換えたり脚色したりしたアトラクションですよね。この映画も、似たようなものなのかなって、思います。
見た人がそれぞれに何か気づきを得て、感じて、心が動いたら、それがこの映画の意味みたいな気がします。ある意味、根源的な芸術の本質作品なのかなぁとか、思ったり。
だから、こうだ!って言葉にしたりレビューを書いたりするのが難しい作品だな、と思います。

言葉にしやすいところから感想を言うと、音楽が良かったとか、声優が気になったとか、そういう表面的なところになっちゃう。深いところは言葉にしにくいので、、、。
映像表現に関しては、その表層の中でも最も特筆すべきところでしょう。4℃はこういう哲学的なテーマを映像表現に落とし込ませたら比肩できるものがないくらい尖ってる。頭一歩抜けてる。4℃の企業理念とか知りませんが、こういう、本来は言葉にも映像にもできない概念的なものを、少しでもアニメの分野で視覚的に表現しようと走り続けてるスタジオな気がします。アニメによって、少しでも神に近づこうとしてる、、、みたいな。どうしても言葉にするとチープになってしまうんだけど。だからこそハーモニーなんかは4℃の意味ないじゃん、くらいに思ったんですが、今作は打って変わってスタジオの本領発揮、真骨頂って感じでした。

とはいえ、人間の手で作られた形あるものなので、制作に当たっては人間の意思が存在してるし、作品が出来上がるまでのアイデアやモチーフ、表現の目的がある。
存在する以上、この作品には意思が存在してしまっていますよね、、、多分。
そういう観点から逆算したり、制作陣の意図や意思を辿る形で、考察や解説などはできると思いますが、それは得意な人とか本職の人がしたほうがいいと思います。私もあとで調べてみようと思います。つくづく私という人間は、言葉で理解したい生き物だなと思いました。そんな映画、、、
なんだこのレビュー。

自分用覚書↓

◾️『海獣の子供』なぜ賛否を巻き起こす結果に? 作品のテーマやアニメーション表現から考察
(https://www.google.co.jp/amp/s/realsound.jp/movie/2019/06/post-374100.html/amp)

◾️ 100倍理解が深まる!アニメ映画「海獣の子供」謎解きレビュー
(https://entertainment-bridge.com/childrenofthesea/)
かつきよ

かつきよ