つかれぐま

海獣の子供のつかれぐまのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
3.0
6/11大泉#5

中学生の背伸び

生命が輝く夏の海。それを「どうかしてる」レベルの画力で書き込む。夏休みの中学生の有り余る体力のような作品の力の前に、ねじ伏せられた感覚だ。

原作未読でアニメ弱者の私が期待したのは、水族館と美術館の疑似体験。久石譲の劇伴でそれを楽しむ癒しを求めていたのだが、逆に良くも悪くもこちらを疲れさせる作品。あまりに凄い書き込みで画面の情報量が膨大(人物の瞳の中にまで)なのに加え、海と空の中二病的な台詞(≒会話にならない独白)の洪水で、「2001年」的と言われる終盤にたどり着いた時点で、オジサンは疲れ果てた。

「一番大切な約束は言葉では交わされない」という決め台詞だったが、私には逆に説明過多な作品に思えた。地球最初の生命は隕石に付着してきたという学説はそこそこ有名なので、隕石と地球の受胎関係をここまで言葉で説明しなくても良かったと思う(「本番」という表現もなにか違和感)。台詞が皆無だった「レッドタートル」のほうが私は好きだ。

圧倒的画力で観る者をねじ伏せる。
それだけの力がある作品だ。子供たちの第二次性徴が全編にわたってメタに表現されていたり、繊細な一面もある。だが、何か余白のない息苦しさも同時に感じた作品だ。