スチールラグ

海獣の子供のスチールラグのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
4.0
映画館でこんなにアニメを見るのは、子供の頃の東映まんがまつり以来と思われます。
ということで、アニメにチャレンジしてみよう第二弾。

第一弾(天気の子)と同じ感じだろうと思って行ったら全く違ってびっくり(アニメファンの方々すいません)。
ジジイ、映画館で窒息死するかと思いました。

映像を浴びるとはこういうことを言うのだろうと実感。
最初の、サンフランシスコ沖でザトウクジラがジャンプするシーンで、ゴジラを思い出す(モスラは出ません)。
水の中を自在に泳ぎ回る子供たちの映像に、その中に入りたいと思う(ジジイ、泳げません)。
後半、SF・ファンタジーパートで想像の先を行く展開と映像のシャワーに、息をつくのも忘れる(窒息寸前)。

惜しむらくは、少し説明過剰に感じました。
どうせ、僕も含めて「さっぱり分からん」なのだろうから、思い切って振り切って、「考えるな、感じろ」で良いと思う(分かってらっしゃる方ごめんなさい)。
若い科学者はそういう役割なのだと思うけど、もう少し寡黙でも良かったと思う。
でも、「僕たちの思考や想い(をめぐらすこと)は宇宙に似ている」という言葉は良かった。

SF・ファンタジーパート以外の映像もキレイでした。
僕は、青色が好きでどうしても画面の中でその色を探してしまうのだけれど、空の青さが「天気の子」と全く違いました。深く、濃く、他の色と混ざり合って複雑。前者を水彩画とすると、こちらは油彩の風景画に近い。
何より、海の表情が良い。単なる平板に描かれていない。実際、小さなボートで少し沖に出てみると分かるけれど、海は平板ではなく、うねり、盛り上がり、迫ってくる。よくこんな表現が出来たなあと感心しきり。
色彩担当もしくは色彩設計という方々の仕事の中身を全く理解していませんが、同じアニメと言っても彼らの仕事でこんなにも違うんだなあと痛感。

この間の京都の悲惨な事件で残念ながら亡くなられた方の、「世界は美しいということを意識してキレイな絵になるように試行錯誤しながら作っています」という言葉に涙が出る。“世界は美しい”、そう思って頑張る仕事は素晴らしいと思う。ご冥福をお祈りします。

「海獣の子供」20190730ヒューマントラストシネマ渋谷
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