いずみたつや

海獣の子供のいずみたつやのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
4.4
うねる波、見開いた鯨の目。そこはかとなく流れる死のイメージで語られる誕生の物語。

強烈なエネルギーに満ちた画の連続にとにかく圧倒されました。
夏休みの胸が高鳴る感覚と、夏の終わりのセンチメンタルな気分とが立ち上る瑞々しい描写も本当に見事で、夏の青春映画としても好きです。

恥ずかしながら原作は未読なのですが、説明しすぎない、しかし観客を置いてけぼりにはしない脚本の塩梅も効いていたと思います。

夜の闇に溶け込んだ海を覗き込む時のゾクゾクする恐怖と、未知の入り口がそこにあるようなザワザワする感覚が思い出されて、またそれらが「死と生」のテーマとも繋がっているところに感動を覚えます。