amy

マチネの終わりにのamyのネタバレレビュー・内容・結末

マチネの終わりに(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

成熟した大人の恋愛、かなりドロドロした部分もあったし、テロ、大事な人の死、離婚など様々な場面で暗いところもあったけれど、観てる最中も、観終わった後も、美しい、と感じた映画だった。
それは、もちろん主人公が奏でる音楽の美しさによるものが大きいけど、「成熟した大人」が出す表情、佇まいもあると思った。

様々なテーマが盛り込まれているけれど、私は特に「人は記憶によって過去をも変えている」というところが、哲学的で、この映画の大切なメッセージの一つだと思う。

ラストの近く、険しい表情で走る洋子さんが、突然立ち止まり、振り返ると、そこには座れるぐらいの石、それを見て微笑む。
実家でお婆さんが石に頭をぶつけて亡くなってしまったこと、真実を知って、石に座って泣いたこと、そのような暗い過去を笑顔で「振り返る」。
ここには、洋子さんが、自分で過去をよいものに描き換えたいという、「願い」があるように見えた。
そして、最後に2人が再開したところで映画は終わるが、これからまた未来が始まるとともに、過去も変わっていく雰囲気が感じられた。

原作を途中まで読んで、好きになりそうな予感がして観に行った映画。やっぱり好きな映画になった。小説を最後まで読むのが楽しみ。
amy

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