Nakao

マチネの終わりにのNakaoのレビュー・感想・評価

マチネの終わりに(2019年製作の映画)
2.7
特集を組まれてたのにキネ旬では芳しい評価では無かった本作。故にハードルを下げてたのでそこそこ楽しめました。

重森カメラマンのフィルム撮影特有の画面のザラつきが凄く良かった。昨今のデジタルとは違い、暗い夜の描写がとても効果的かつ魅力的。ただ映像美が良かっただけに内容がホラーかつ少し淡白。洋子のジャーナリストという職業も、父親が名映画監督だという事も上手く生かし切れてない気がします。大人のプラトニックラブストーリーですが、後半は桜井ユキに持ってかれてイマイチ。

西谷監督のインタビューを読みました。原作では3.11やリーマンショック、イラク戦争、難民問題と00年代の終わりから最近にかけての世界問題とラブストーリーが深く絡んでいる為、物語の咀嚼に腐心したそうです。イラクでの撮影も断念しフランスに変えたとの事。さらに原作の科白を結構落としその変わりにギターのBGMで蒔野のセリフを補完したようですが...効果は..

僕は気持ちよく寝れました。

原作ではルキノ・ヴィスコンティの「ベニスに死す」になぞらえて「ベニスに死す症候群」という言葉がよく出てきます。この言葉の定義は『中年になって、突然、現実社会への適応に嫌気が差して、本来の自分へと立ち返るべく、破滅的な行動に出ること』。平野さんの造語です。

このセリフを映画の中に上手く落とし込んでいたらもっと印象が変わる気がします。蒔野と洋子が互いに惹かれた理由も、ギターを弾けなくなった理由も。