me

アルキメデスの大戦のmeのネタバレレビュー・内容・結末

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

完成披露にて1回目鑑賞
(いろんな感情が入り交じって全然うまくまとめられてません)

なんて書けばいいんだろう…
もう全部が最高すぎて…
膝も腰も震えて動機も止まらない

脚本が本当に本当に素晴らしかった

冒頭に大和と戦争をリアルに描き出しているところにすごく誠意を感じられた
戦争は戦艦や飛行機が戦うものではない
そこに人間がいて砲弾やミサイルが打ち込まれれば確実に肉の塊になって死ぬのだという事がしっかりと描かれていた
綺麗事ではないのだという事が伝わる

深い深い映画でした
日本という国の本音と建前
日本の美徳とは一体何なのか
何が正しくて何が正しくないのか
美しさを守る為にその裏に隠されたたくさんの犠牲
これからの未来は一体何を守っていくべきなのか考えさせられました
最後のセリフもすごく面白かった

そして昭和初期の美しい風景の中の
菅田将暉
数学の数式の美しさに魅せられた男は
江戸川乱歩の世界の住人のような
変態性と美しい口調が最高に耽美で
全編通して魅了されまくる
個人的には櫂の部屋がツボ
昭和初期の着物
中には肌着
部屋の内装から吊り下げられた幾何学なオーナメントに至るまで美しい

素晴らしい脚本
素晴らしいセット、
素晴らしいロケーション
素晴らしい俳優陣
素晴らしい映像の中にいる菅田将暉はここまで凄いのか
絶句です…

菅田将暉が菅田将暉を
出し惜しみしてない
100%の力でぶつかっていける環境にいる菅田くんを見れている事が嬉しい

自分の才能や技術を使いながら
もう1回逆転させて行くところ
芯の強さ
とにかくやってみるっていう台詞
菅田くんと重なりすぎて全部泣いた

田中泯さんとのやりとりも最高だった
数学の美しさに魅了された天才同士が
2人にしか分からない世界で
言葉もないままに通じあってしまう感じ
解いた戦艦の数式の美しさに
興奮する表情を見せるところ
2人ともすごかった

それから佑くんの軍隊仕込みの
所作の美しいこと✨✨
この美しさも最後まで見ると美しさへの伏線かなぁ〜とか思ってしまうし
櫂直の美しさへの固執も
浜辺美波の顔面の黄金比も
全部美しさへの伏線かな〜って思ったり…
(浜辺美波の顔面は黄金比ではなく白銀比だったそうでセリフは白銀比に直したのだそう)

後、ものすごいチョイ役であんな役者さんが!!みたいな方が出演されててびっくりする
冒頭はあゝ、荒野の時のトレーナーだった松浦さん出てるし
エンドロールで角替 和枝さんのお名前も…
ちょっと心くすぐられるサプライズ✨✨


初日2回目鑑賞

1回目では「ん??」と思いつつ流してしまった部分がかなり重要だったことが分かりゾワゾワしてる

エンタメ映画かと思ってたから
ラストこんなカラクリが待ってると思わなかったから💥💥

五十六の本当の目論み
櫂がなりふり構わず奔走した日々は
五十六の会議での一言に重みを加えたいだけだったのか…
下っ端がどれだけ汗水垂らしても
美味しい所を持っていくのは全部上司
しかも会議での一言は
最初の料亭で言ってる言葉なのよね…
それが言いたい為に櫂を使っただけとは…😢😢

しかも戦争止めようとなんて思ってないし…ほんと卑怯

結局目論み通り
真珠湾も攻撃して…
って事は空母も大和もどっちも作ったって事じゃん
そして櫂は軍人嫌だって言ってたのに
あそこで敬礼するまでになってしまった😭😭あぁぁぁぁぁ

最初に大和の模型見た時の小林克也と橋爪功のリアクション
かっこいいおもちゃを見た子供だよね

はしゃぐバカ達をしり目に平山(田中泯)は全然違う所を見てる
開戦前の時点で
戦争が起こること、そして負けること
更に日本人の気質
世の中の流れ…
日本人は負け方を知らない…と
大和にそんな意味があったのか…
本当の所は分からないけど
その切り口で大和を見るというのがすごく面白かった

全てを見据えた上で
世界中で1番美しい戦艦を沈ませる為に作ると言う…
桜は散るから美しいみたいな情緒??
(これはまた違うかw)

それから黒板のシーン
1回目見た時は
前に出る櫂の行動の意味に注目してなかったんだけど
あれは計算時間を作る為のパフォーマンスだったのね
そうじゃなかったらわざわざあんな事やらないもんね

そして上官達の心を鷲掴みにする行為は
そのまんま菅田くんの先輩俳優達の心を鷲掴みするという結果に繋がっていて
櫂と菅田くんがリンクして見えた

菅田くんにとっても百戦錬磨の先輩達を唸らせ自分が真ん中に立つ上で重要なシーンの意気込みは
櫂の気迫にそのまま繋がっていたし
本当に素晴らしいシーンになっていた

そして田中(柄本佑)の計算が終わった時
他の戦艦の計算をしていた櫂が
ついにやっと初めてあの黒板の上で
追い求めてきた大和の数字を見るという
感動のシーンなのだと改めて感じられ
涙が出た

数々の映画の感動シーンがあるが
計算をしてここまで感動を連れてくる映画って他にあるのかな(笑)

他のシーンでもただただ計算して測量して図面書くだけなのに
面白いんだよね
時間との戦いもちゃんとハラハラさせてくれるし

それには音楽がかなり力を貸していると感じた
音楽によってワクワクだったりロマンスを引き出されてる気がした

最初の船を測るという普通に考えたら静かなシーンも
ラピュタのドーラとパズーが小型飛行船でシータを助けに行く時みたいな
心を駆り立てる音楽だったし
(櫂とっては同じくらい興奮しているんだと思う)

京子と木の下で会う時には爽やかな風が吹き抜けるような音楽がかかる

エンディング曲も
心をいつまでもざわつかせるような
なかなか無いものだと思う
エンディングが終わってないのよね
あの音楽だと…
このまま引き続き考えてくれって事なのかな

更に劇伴のiTunesの配信を見て見たら
最初の曲と最後の曲が同じなんだけど…
明らかにループさせてるっていう…

後好きだったのが
夜に設計図を作ってて
田中がおにぎりの差し入れを持ってくるシーン
最初は訝しげに見てた田中が櫂以上に熱くなってて
その熱くなってる様子にちょっと嬉しそうな、でもちゃんと上から
かわいいやつだな…みたいに田中の事を見て笑いながらおにぎり食べる所が
もうもうもうもう!!!!!!!!!
たまらんです😍💕💕💕
なにあの笑顔😭😭完璧だよ‼️‼️‼️

3回目鑑賞
ようやく深く見れる様になってきた
(昭和初期の風景の中にいる菅田将暉が美しすぎて思考回路がフリーズ
絶対大きいスクリーンで見た方がいい!!)

様々なシーンが素晴らしいが
3回目ようやく辿り着いたのは
若き天才が無惨に利用されていく様だった

戦争を止めたいと願う純粋な心につけ込み自分の発言の裏付けをさせる為だけに奔走させた山本五十六

戦争を終わらせる為にと最もらしい事を言い
同士だと心を緩ませ
大和を見たいと思わないのかと
そそのかし
櫂の欲望を揺さぶった平山中将

でも周りのせいばかりにも出来ない
選び取ったのは自分
自分の力を試したくてウズウズしていた所に与えられてしまった場所
1度覚えてしまった快感には抗えなかった弱さ
この櫂を見ていて
オウムに入りサリンを作ってしまった天才達の事を考えてしまった

どんな才能も間違った方向に向かわせてはいけない
若さゆえの愚かさと一言では言えない何かが襲ってくる
あなた達こそ才能のある若者を正しい道に導いてくれと願う

この4ヶ月後には終戦なんだなぁ…と
今立ち尽くしている状態です

そして結局櫂直は
あんなに嫌っていた海軍に12年もいたのかと怖くなった
こうやって美しい青春を奪われた若者がたくさんいたのだな

エンタメとしてもすごく楽しめたし
別方向から見たらすごく深くも考えられる作品でした
山崎監督
こんな素敵な菅田将暉を見せてくれてありがとう
最高でした

戦争ものなのに
主人公がヒーローでも英雄でも無いという所が好き
菅田くんがやる意味が分かる

そして最後にまた
一撃を食らわされるのだ!!

最後に田中に出てきて欲しかったという声を聞いたが
もしかしたら田中は戦地に行っているか戦死してるのかもしれないね

櫂が大和を見送ってから4年は大和もしっかり活動してたらしい

その間に五十六は戦闘機で戦死…
真珠湾攻撃の報復という名が付いた
作戦だったようだ
近代史はもう少し勉強したいな
me

me