ぺん

アルキメデスの大戦のぺんのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.0
失礼ながら、山崎監督作品で初めて普通に楽しめた。
登場人物にペラペラ心情語らせるやら、相変わらず苦手な要素はそのままあるけれど。
冒頭の坊ノ岬沖海戦は背筋がゾッとくるほどの出来で、あ、この映画は期待できるかもと思いました。
沈みゆく大和はもちろん、米軍の戦闘機パイロットがクローズアップされるシーン。日本海軍の絶望をダイレクトに感じて上手かった。

中盤はやや飽きが来るけれど、菅田将暉と柄本佑の掛け合いは意外と間を引っ張ってくれた。
何より田中泯演じる平山造船中将の、静かで重厚な存在感が効いている。
山崎作品で一番ダメな恋愛部分が極めて薄味だったのも、個人的に入りやすかった点。

しかしアルキメデスとドラクエ、見比べると監督の熱の入れようの違いがわかるのでは?
ドラクエだけ見て叩くのはちょっと勿体ない。
アルキメデスの方は、現代日本にも続く負の部分をストレートに突いているように思える。
例えば東京五輪を大平洋戦争、新国立競技場を大和に見立てると…
そして、山崎監督が東京五輪でクリエイティブディレクターを務めるのが痛烈な皮肉に思えてくる。
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