「数字で世界を変える」
三田紀房による戦争漫画を実写化。個人的に苦手な監督の1人である山崎貴作品だが、期待してなかったこともあってかかなり面白かった。嬉しい誤算。
戦争モノっつっても実際にドンパチやる場面は冒頭ぐらいで、あとは人間ドラマなミステリーモノと思って問題ない。戦艦作成の不正予算を暴く為に天才が試行錯誤する話なので、ガチの戦争モノを期待すると肩透かしにあう。いやまあコレもガチ戦争に繋がる話なんだが、少なくとも戦争描写は皆無に等しい。
数学の方式や用語などがバンバン出てくるので櫂の言ってることは何が何やらチンプンカンプンなんだが、そこも理解しなくても全然問題ない。むしろ周りの人間も何言ってるか分からんみたいなコト言うんで、周りの人間が視聴者目線とも言える。
数字の天才櫂を演じたお馴染み菅田将暉、今回凄いと思ったのは、数式を使い戦艦の値段を当てる場面。あんな計算式と膨大な数字よく覚えて演技したな。カンペなんか無いだろうしさあ。あの書いた数字も正解とかじゃないと自称天才視聴者達がツッコミ入ってくるんだろうし。
この映画の良かったところは不正を暴いてハイ、終わりじゃないところ。その後も物語は続き、戦争が起きるという意味が重くのしかかってくる。
これ以上はネタバレになるので言えないが、１つだけ言うと、最後の櫂とモブ軍人の会話、同じ日本を象徴するかのような言葉なのに意味は全く違うトコロが上手かった。正直このやり取りだけで
この映画の価値があるとすら言っても過言ではないくらい上手いオチだわ。まさかあの山崎監督にこんな芸当ができるなんてな。
なんか令嬢との恋とか必要だったのか、とか相手側の軍人達が小物過ぎるだろとか色々言いたいことはあったが、全体を見るとかなり良かった。ドンパチしない戦争映画という１つの手法として正解だったと思う。
