けーすけ

アルキメデスの大戦のけーすけのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.2
2020/05/30(土) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。原作漫画は未読。

めちゃめちゃ面白かった!映画館で観たかったー!!!
例によってあらすじや予告編すら見ずに鑑賞しましたが、てっきり戦争・戦闘シーンがガンガンな映画と思ってましたら全然違ってましたよ…。登場人物もそれほど多くなく歴史や人物に詳しくない僕でも理解しやすく楽しめました。どことなく池井戸潤のドラマ的な雰囲気を感じたり。笑






第二次世界大戦前の日本、次期戦艦の新規建造にあたり、海軍少将・山本五十六(舘ひろし)はこれからの戦(いくさ)には航空母艦が絶対に必要となると強く訴えるが、対立派の嶋田繁太郎(橋爪功)は「世界中が驚くような巨大戦艦が日本人を鼓舞する為にも必要だ」と強く主張する。
嶋田側の戦艦建造費用の見積もりも山本達の提案する空母より安く、不利な状況に。
しかし、あまりにも安い建造費用に疑問を抱いた山本達は、偶然に出会った元帝國大学の天才数学者・櫂直(菅田将暉)に実際の建造費用の算出を依頼し予算見積もりの捏造を暴こうとするが・・・








史実を基にした部分はあり、実在した人物も出てきますがメインストーリはフィクションとして作られております。

冒頭、不沈艦と言われた巨大戦艦の戦闘シーンが描かれます。1945年4月7日、終戦の4ヶ月ほど前にその巨大戦艦は米軍の強烈な攻撃を受けあえなく撃沈。正直、戦闘機や戦艦のCGは少し荒く感じましたが、生々しい感じは圧巻。
(攻撃を受けた隊員の人体損壊描写が激しめなので苦手な方はご注意ください)



本作ではそんな出来事の12年前にさかのぼり、巨大戦艦が建造されるに至った経緯が描かれていきます。なので冒頭以降は戦闘、戦争シーンはありません。


主演の櫂直(かい ただし)演じる菅田将暉も「数字が全て!美しいものは測らずにはいられない!」というド変人でいい味出しているのですが、後に彼の部下となる田中正二郎役の柄本佑がめちゃめちゃ光ってました。最近のドラマなどでも注目される彼ですが、本作では菅田将暉を引き立てるスパイス役でしたね。



櫂「君はこの戦艦を測りたいとは思わないのか?」
田中「ええ、まったく」
櫂「変わってるな…!人として何かが欠けているのではないか?」

このような二人やり取りも笑えるし、最初はぶつかっていた二人が徐々に打ち解け、次々に訪れる困難を乗り越えていく感じはバディムービーとしても秀逸でした。


そんな様々な苦難を乗り越えた先にある、数字のカタルシス・・・!
クライマックスでの菅田将暉の熱演には泣かされますし、その後のある種のどんでん返しに次ぐどんでん返しに「やられたー!!」ってなりましたよ。



一応、今回の感想では巨大戦艦の名称は伏せてます。あらすじとかでも思い切り記載してありますし、一般的教養がある人なら言わなくても分かるとは思いますが、劇中ではあるシーンで初めてその名前が語られます。そしてその意味が語られた時に本作の心髄がズバっと刺さる気がしています。


70年以上前に実際にあった出来事を交えてフィクションとして描かれていますが、どことなく現代にも通じる部分が多々あると思わせる本作。もう戦争は無い事を願うばかりと改めて思いました。






蛇足ですが、浜辺美波が相変わらず可愛いくて清涼剤的存在でした。そりゃあれだけ美しかったら菅田将暉もあちこち測りたくなりますな!僕も測りたい!!


[2020-079]
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