にしやん

SANJU/サンジュのにしやんのレビュー・感想・評価

SANJU/サンジュ(2018年製作の映画)
3.7
「サンジュ」の愛称で絶大な人気を誇るインドの実在の映画スター、サンジャイ・ダットの半生を描くエンターテインメント作品や。サンジャイ・ダッドはインドでは誰でも知ってる超有名な俳優で、彼はインド映画界での輝かしい実績もあんねんけど、その一方でさまざまなスキャンダルでも有名で、いわゆるお騒がせ俳優やねんな。日本で言うたら、さしずめ勝新のもっと酷いのみたいなもんか。また、この波乱に満ちた大スターの半生といっしょにインド映画界の裏の部分やアンダーグラウンドな面も描いてるわ。
映画は大きく前半と後半に分かれてて、前後半それぞれも、前半は伝記に入るまでの導入部分とサンジャイ・ダットの回想による伝記部分に分かれてて、後半はサンジャイ・ダットの友人の回想による伝記部分とその後日談の部分にそれぞれ分かれてるわ。
前半のテーマはいわゆるインドのドラッグ問題や。さしずめインド版の「ビューティフル・ボーイ」やな。インド映画でこんなシリアスなもんを観せられるとはちょつと面食ろたわ。酒からドラッグへと落ちぶれていく主人公がどう立ち直るかがメインの話やな。たいがいは明るく楽しいインド映画やけどさすがにドラッグの問題となると明るく楽しいという訳にはいかず、ドラッグ問題の悲痛さが伝わってくるわ。
後半は、ドラッグ中毒を克服した主人公が今度はテロ事件への関与の疑惑がテーマになるねん。このテロ事件とは、1993年に実際に起きた事件でムンバイ市内13ヵ所で連続爆弾テロが発生。原因はインド国内のヒンドゥー教とイスラム教との宗教対立問題や。主人公はある出来事をきっかけに、そのテロ事件に関与してるんやないかという嫌疑をかけられ、テロ対策法の適用で非常に重い刑を課せられる破目になんねん。その後、仮釈放・再収監を繰り返して、最終的にはテロに関与してへんことは明らかにねんけど別の罪で結局服役するっちゅうことに。いくら俳優で有名人であろうが、宗教問題に巻き込まれたらほんま酷い目に合うねんな。それと、インドのマスコミの報道のあり方についても痛烈に批判してるな。有名人をある事無い事、みんなでよってたかって袋叩きにするとこなんかは、インドも日本もおんなじやな。
本作の監督はラージクマール・ヒラーニという人で、2009年の「きっと、うまくいく」と「PK」が代表作やな。実は本作の主人公のモデルになったサンジャイ・ダットは監督のデビュー作に主演してて、本作もサンジャイ・ダットを相当擁護する内容になってるな。監督の個人的な思いみたいなもんも多分にあんのやろ。特にラストの友人とのエピソードとかも、思わずホロっとはきてしもたけど、ちょつと強引やったかな。伝記についての真偽のほどはわしにはよう分からんわ。せやけど、俳優兼映画監督でその後は国会議員もやってたサンジャイ・ダットの親父さんの、息子への長年に亘る深い愛情については、胸を打つな。ダメ息子から絶対に逃げへんかった。実の息子やとはいえ、中々ここまで出来るもんやないと正直思たわ。
有名人の伝記映画っちゅうんも確かにおもろいもんやな。日本映画では最近少ないんとちゃう?取り上げる有名人によってはそこそこヒット見込めるんとちゃうかな。有名人自体の認知度が高い訳やからプロモートしやすいわな。例えば樹木希林とか?旦那さん役は是非モックンで。主人公はもちろん也哉子さんやろ。いけると思うけどな。どうやろ?
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