ゆめちん

15年後のラブソングのゆめちんのレビュー・感想・評価

15年後のラブソング(2018年製作の映画)
3.5
15年後のラブソング

イーサン・ホークがキャスティングされているとやはり気になります。気軽に楽しめるコミカルな作品でした。

イギリスの港町サンドクリフ。博物館で働くアニーは、生活に物足りなさを感じながら毎日を送っていたが、ある事がきっかけで恋人のダンカンが心酔する、元歌手のタッカー・クロウの作品をファンサイトで酷評したところ、タッカー本人から返信が届く。

女性としての貴重な時間を無駄に過ごしたアニーと、音楽からずっと逃げてきたタッカー。年を重ねたからこそ、なかなか次の一歩が踏み出せない男女が、徐々に大切なものに気づき決断していく過程が優しく描かれ、心地よく心に響いてくる。

ただのラブコメに留まらず、タッカーとダンカンのやりとりで、音楽を作った側の思惑と聴く側の受け止め方の違いに触れているのもいい。
映画も観る人によって様々な感情を抱くし、作り手の思いが全て伝わるとは限らない。
好きな映画の良さを語ったら、監督に全否定されたようなもので、人間的には嫌いだが、ダンカンの気持ちも分からないではなかった。

タッカーのだらしないダメ男ぶりがキュートでどこか憎めない。そんなタッカーを演じたイーサン・ホークの演技は味わい深く、彼の持つ雰囲気が役柄にぴったりで、観る度に渋みが増している気がする。

仕事、恋愛、そしてこれからの人生に揺れるアニーを、ローズ・バーンがチャーミングに演じ、彼女の魅力が活きるいい役柄だった。

幼いタッカーの息子ジャクソンを演じた、アジー・ロバートソン君の子供らしく自然な演技が可愛らしく、タッカーやアニーとのやりとりも微笑ましかった。色々な作品に引っ張りだこなのも頷けるし、将来が楽しみだ。

全体的に皆はまり役で、いいキャスティングだったと思う。
ゆめちん

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