カルダモン

マンディ 地獄のロード・ウォリアーのカルダモンのレビュー・感想・評価

3.5
オープニング曲でキングクリムゾンの『Starless』が流れた瞬間、最高じゃん!と思ったのも束の間、中盤くらいまで超退屈で、何度も停止ボタンに手が伸びた。実際に何度も停止した結果、数日間に分割しての鑑賞となってしまった(サイテーな鑑賞スタイル)
ところがこの映画は80分を過ぎた頃、復讐を誓う瞬間から一気に物語が過熱しだす。ここからが本番とばかりに満を持してのタイトルロゴ『MANDY』が堂々と赤字で染め抜かれ、血濡れたニコケイの目も爛々に。オリジナルの斧を鋳造し、なおかつあまり活かすこともなく、最終的にはチェーンソーと鎖を振り回して戦う姿が狂気にして超野蛮。四輪バギーに跨って赤いスモークを背景に浮かび上がるロードウォーリアーの勇姿。まるで特撮モノに登場しそうなヒッピーカルト教団の怪人も、さして見所を与えられるでもなくあっさり木っ端微塵。

カルト教団と復讐劇という構図は『マッドマックス怒りのデスロード』的で、オマージュと思しきカットや音楽使いもちらほら。ネタバレになっちゃうけどラストは『ミッドサマー』とほぼ同じじゃないですかね。三角形が燃えて自分はあらぬ方向に堕ちていく。笑ってたし。

しかし121分はいくらなんでも長すぎる。90分で何とかなっていたらなぁ。変態映画に率先して取り組むニコラス・ケイジが好きなだけに。
間違いなく万人ウケしない映画だしオススメもしませんが、ラストのニコケイの顔と地獄の風景が忘れがたい映画でしたので、興味があれば是非。私としてはラストの顔だけでこの映画を頑張って見た甲斐がありました。そしてタイガーバームの虎みたいなプリントのロンTと白ブリーフのファッションセンス。それを着こなすニコラス・ケイジも見どころです。
あ、ちなみにマンディはニコケイの役名ではなく奥さんの名前です。びっくり。


ところで上に書いたキングクリムゾンの『Starless』は前半と後半でガラッと変化する曲で、なるほどなって感じでした。