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マンディ 地獄のロード・ウォリアーのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.5
【もしもニコラス・ケイジが実写版『ゼルダの伝説』に出演したら...】
B級映画、ゲテモノ映画ばかり出演し、すっかり笑い者、ネタ役者として扱われているニコラス・ケイジ(そんなこと言わないで!『バッド・ルーテナント』はいいぞ!)。そんな彼の新作が批評家の間で絶賛されている。シッチェス映画祭で監督賞を獲ったのはもちろん。あの映画評論家・大寺眞輔の言葉の杖をへし折る程の凄まじさを宿した映画らしい。そんな作品『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』を土曜日の朝に観てきました。まさに《おはマンディ》だ。

恐らく、パノス・コスマトス監督は相当『ゼルダの伝説』が好きなんだろう。まず、タイトルが、主人公の名前ではなくヒロインの名前ということに注目していただきたい。悪にさらわれ愛する者を惨殺されてしまう。怒りに燃える主人公は、復讐の旅に出る。そして旅に出るにあたり、自分だけの武器を手にする。そして、様々なサブウェポンに切り替えながらバイク集団を駆逐する。そして、意味ありげにオカリナが登場する。そう、これは実写版『ゼルダの伝説』だった。

ただ、この作品がユニークなところは、妻が惨殺されるまでを1時間近くかけて描くのだ。ゆっくりゆっくり、「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と藤岡弘さながら、じっくりと過程を描いていく。サイケデリックな色彩にヨハン・ヨハンソンの独創的な音楽が、観るものの髄までこの地獄世界の魅力を浸透させていくのだ。

そして、後半の復讐パート。余計な道中は一切省き、ボス戦だけを抽出する。雑魚キャラとの戦い、謎解きプロセスなんて観たくないだろ?と言わんばかりに、白熱したボス戦だけが描かれるのだ。しかし、怒りに燃えるニコラス・ケイジを止めることはできない。ハートは100個ぐらい。武器も最強のものを使っている。いわば、チートを使った状態だ。なので、いとも簡単にボスクラスの敵がニコラス・ケイジに惨殺されていく。そして、唸り声、怒っているのか笑っているのかわからないような狂気のニコラス・ケイジに爆笑する。なんなんだこの作品は?

観終わった時、観客は周囲を見渡しこう思う。

「果たして自分は何を観たのだろう?」

正直、本当にこの映画を観たのかわからない。実は『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』はこの世に存在せず、夢の中で観た悪夢だったのでは?と疑いたくなる。

ライフがハート1個の時に観ると間違いなく寝る映画なので、これから観る方は、エナジードリンク等を飲んでギンギンな状態でこの地獄に挑戦してみてください。
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