遠くで点滅していたサイレンが真紅になって押し寄せてくる。鮮血のライトを浴びた瞬間、男は復讐の鬼と化し、殺戮の修羅場が血飛沫をマグマのように暴発させた。オープニングはキング・クリムゾンの名曲『Starless』。この曲を収録しているアルバムの名は『Red』。主人公の名もレッド。そう全ては真紅。赤色に塗り潰された非業の戦士の物語だ。
あのニコラス・ケイジが自らの頭皮をも鮮血に擬態させるほどの血みどろのバイオレンスファイターを熱演!死神の鎌を彷彿とさせる中二病的な斧と考えられないほどの握力を駆使して、勘違いカルト教団を地獄のドン底へと突き落とす!マンディとは主人公の妻のことで、画的にはマンディの眼光が一番怖いという説も(自分調べ)。前半の恐怖とも言える詰まらなさを怒涛の後半で巻き返す、異形のカルトムービーが誕生だ。
〜あらすじ〜
そこは自然と平和が同居する家。レッドとマンディの夫妻は湖畔の家でゆっくりとだが、幸福な日々を送っていた。マンディは常に何かに怯えているようであったが、レッドはそんな彼女を抱きとめ、大らかに愛は育まれた。
だが、マンディがジェレマイア率いるカルト教団に目を付けられたことにより、2人の平和だった日常は打ち破られてしまう。ジェレマイアは部下にマンディを誘拐するように指示を出し、バイク部隊を雇い入れた部下達はレッドとマンディの寝込みを襲った。レッドは頭部に重傷を負い、マンディは誘拐され、教団の生贄となる運命が待っていた・・。
〜見どころ〜
上記のあらすじの場面で前半の1時間を要するため、とにかく前半部が詰まらないうえに爆裂に眠い。なので、まずは睡魔という名のレッドウォリアーを倒さないことには話にならない。こいつを倒すと今度は顔面を血で真っ赤に染めたニコケイが出現し、バッサバッサと悪党どもを血祭りにあげてくれる、パワフルで悪趣味なアドベンチャーが到来!マンディ退場後の後半は文句なしに面白い!
ベルギー映画ということで、そこかしこにアートなカットを多用しており、特に眠さ爆発の前半部はそういった芸術的なカット割りと赤で固めた色彩の筆触を堪能する方にベクトルを向けると睡魔にも勝つことができそう。カルト教団の首領の戯れ言を聞くのもまた人生の浪費とも言える時間なので、ここは早送りでもいいかもしれない。
この映画のカルトな部分を愛せるか否か。ニコケイが50代半ばにして爆発して、髪型をバカにされた時の丈助ばりのプッツン具合でキレ倒してくれるので、後半30分まで我慢してもらって、みんなでニコケイ復活(死んではいないけどw)を高らかと叫べたら、結果オーライなのではないでしょうか(笑)
〜あとがき〜
白状すると前半は寝ました(笑)レッドウォリアー(睡魔)に負けました。が、トータルで見ると爆裂なカルト臭のおかげか、これはこれで面白いのかも、という洗脳めいた余韻が目の前に広がっていたのは不思議です。
マンディは何故狙われるのか、カルト教団お前ら何なんだ、とか、バイク部隊誰なの?とか、謎が謎を呼ぶ展開に突っ込みを入れていたら追いつかないので、ある程度のスルー技術を総動員したうえで楽しんでほしい作品かと思いましたね。