JunIwaoka

アサシネーション・ネーションのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

4.0
原題:Assassination Nation

とんでも映画なのは間違いないが、例えば性的暴力の被害者が、暴力を誘発させるような格好をしていたことも悪いと非難されてしまう不可解な理論がまかり通る世の中だから、冒頭の「これは100%真実」という馬鹿げた話に目が離せなくなっていった。

ハイスクールティーンなノリの前半は、アメリカの郊外に暮らすいまどきな高校ライフと、友達にも知らせていないSNSの顔の2面性。そこにハッキングが起きて街の人のプライバシーがSNS上で続々と暴かれ、責任ある立場の人のマゾビストや小児性愛者の嫌疑による不信。発覚する旦那の不倫や、親友を売りとばす行為が暴力に発展し、街中が混沌し暴徒化していく過程をスタイリッシュに、生々しく描かれる。It Followsを発展させたようなホラー展開にDetroit並みに緊迫するワンカット(風?)シーンと、13 Reasons Whyのような薄気味悪さがいい。
ところが後半になると一転して街の秩序を取り戻そうとするマッチョな正義感が魔女狩りをはじめ、暴力に対抗する女子高生4人組。なるほど「ビッチじゃないわよ、フェミニストよ」というセリフがここに繋がるのかというミソジニー対フェミニストの大戦争。大戦争の文字通り、赤い特攻服を着た4のレディースが、銃を背負い撃ちまくるとんでも展開へ。。それまでの緊迫感がなんだのかというイデオロギーの戦いの映画でした。だいぶ呆気にとられたけど、現代社会の問題を漏れなくテーマアップして、ごった煮にした感性に感服。
JunIwaoka

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