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ふたりの女王 メアリーとエリザベスのodyssのレビュー・感想・評価

2.0
【失敗に終わった理由】

面白そうに思えたのですが、残念な出来でした。
素材は昔から有名な、スコットランドとイングランドに二人の女王が並立した時代のお話。

邦題はその辺を匂わせるようになっていますが、原題はそうじゃないんですよね。メアリーが主役で、エリザベスは脇役。

でも、主役があんまり魅力的に見えないんだな。メアリーを演じるシアーシャ・ローナンの馬面が私の好みに合わないということを措いても(笑)、彼女がスコットランドを統治するにあたってどういう政治的なヴィジョンをもち、またどういうふうにそれを推し進めようとしたのかが見えてこないのが、その最大の理由です。

メアリーが何となく女王並立的な状況をエリザベスに(自己に好都合なように)訴えて、しかし悪い男たちがそれを邪魔する、みたいな構図で話が延々と進みます。それでいて具体的な政治状況がよく分からない。

最後にメアリーが処刑されるのだって、エリザベスがそれを決断するには色々な要素があったはずなのに、それも見えてこない。

女王メアリーをしっかり描こうとするなら、こういう漠然とした作りは致命的です。
なぜなら、この時代の王(女王)は今と違って第一に政治家だから。彼女を映画化するなら政治の話をもっと具体的に突きつめて映像化しないといけないのに、そうなっておらず、何となくの情感で終わっている。

そこが救いがたい欠陥と言わざるを得ない映画なのでした。
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