湯のみ

ふたりの女王 メアリーとエリザベスの湯のみのレビュー・感想・評価

3.3
メアリーという人に関して今まであまり知識がなくて、なんとなく気が強い印象だけがあったのだけど、そこをシアーシャローナンが凛と演じていたのが素敵だった。

使った・使われたの感性がこの時代の人々はとても鋭いように思う。
そしてここに出てくる女王たちに関してはそこに「女ならでは」の要素が否応なく加えられてしまう。

例えば結婚や出産。
ピンチにもチャンスにもなるその政治的行為に対し、主君として、1人の女としてどう向き合うのか。
戦略と感情の狭間で下すその選択は常にギリギリで、結果までの全てがシビアだ。

薄いカーテンに包まれた2人の対面シーン。
幾重にも重なる布越しの会話はエリザベスの心のベールのようにも見えたし、それを真っ直ぐな言葉と視線で堂々と突き破ってくるメアリーとの対比に胸がヒリヒリした。
禿げ上がった髪に天然痘の跡が残った肌、化粧とカツラに頼った厚い装いで威厳を保っていたエリザベスにとっては、メアリーの素のままの美しさは脅威だったと思う。

それでもエリザベスとメアリー、唯一無二の存在としてどんな時も目の端ではしっかりとお互いを捉えていた2人なだけに、結末を思うとやっぱり切ない。今までの選択の結果が出ただけの話かもしれないけれど。
湯のみ

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