千年女優

岬の兄妹の千年女優のレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.5
とある日本の港町に暮らす、足に障がいを抱える良夫と自閉症を患う真理子の貧しさにあえぐ兄妹。ある日真理子が見知らぬ男に身体を許した見返りに金銭を受け取ったことを知った良夫が後ろめたさを感じつつも生活費を得るために売春活動を始め、そのことが様々な出会いや衝突をもたらし各々を変化させていく様を描いたドラマ映画です。

ポン・ジュノや山下敦弘らの下で助監督を務めてきた片山慎三の初の長編映画監督作品となる作品で、舞台は鬱屈とした地方都市の片隅、主人公は共にハンディを抱えた兄妹、描くのは売春とセンセーショナルな要素を商業映画的にお茶を濁すことなくこれでもかと折り重ねつつもユーモアを交えながら綴った作家性の強い作品になっています。

キレイゴトではない「生」を描くのが一見すると主題に見えますが、ひとつひとつのシーンや会話には「面白さ」の追求があって、むしろ後者こそが監督の志向にも思えて作品全体の印象としてはややアンバランスさを感じます。それでもいくつかある予想を上回る展開にはドキッとさせられるパワーがあり、何かしかの感銘を得れる一作です。
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