ナミ

岬の兄妹のナミのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
4.0
自閉症の妹が、何も分からず感じずただただ言われるがままに体を売らされているのではなく、それによって性の快楽や恋愛感情を知って生き生きとしていくのが何より残酷に感じた。
実際の知的障害者に対する暴行事件なんかも、被害者のこういう心理につけ込んで繰り返し行われているものがたくさんあるんじゃないかなぁ、と。

妹を売るお兄ちゃんも、仕事を失うまではあんな中年になるまで妹の世話をしながらなんとか生きてきたわけで、きっと根っからのクズではないんだよな。
人間は極限状態におかれると正常な判断能力がなくなっていく(そして犯罪やさらなる貧困の連鎖に繋がっていく)という現実がしっかり反映されていてしんどい。

貧困も障害者の性の問題も、現状私にとっては結局他人事なんだけど、こういう作品に触れることで少しは具体的に想像して考えることができるわけで、やっぱ映画の力ってすげー、こういう作品もっと世に出てー、と思います。
ナミ

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