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岬の兄妹のmuraのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
4.3
このロマンポルノかピンク映画かといった作品を、大型商業施設内のシネマコンプレックスで見た。しかもレディースデーに。

足を引きずる兄と知的障害をかかえる妹。ふたりだけの貧しい生活を送っていたが、兄が職を失い、さらに貧困が増す。どうしようもない状況に陥ったときに兄がとった手段は、妹に売春をさせることだった…

貧困にあえぐ兄妹の悲惨な状況を描くことで社会の不条理を訴えるのかと思いきや、そう単純なものではない。妹は性の悦びを感じていて、むしろ売春に積極的(妹は「冒険」という)。さらにその果てにひとりの常連客に恋をしてしまい、しかもその男も障害者…

もう混乱でしかない。どう考えていいのかわからない。

ただ思うのは、障害があるからダメなのではなく、障害があるからダメと決めつけるからダメなのか。それは社会にも本人にもいえることで。

そして福祉制度を利用できない不器用な人たちがこの世にはわんさかいるのではないかとも思えて。

それにしても…稼いだ金でマクドナルドのハンバーガーとポテトをたらふく食べ、これまで窓をふさいでいた段ボールをはぎとる印象的なシーンがあるが、食えるってそんなに希望に満ちたことなのか…あらためて思う。

で、途中からここには演出も演技もないだろうと思ってしまう。それほどにエネルギッシュ。
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