キャサリン子

岬の兄妹のキャサリン子のレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.8
ざっくり言うと、身体障害者の兄が知的障害者の妹に売春させる話。
障害者の貧困と性についてかなりタブーに踏み込んだ作品。
個人的には、「万引き家族」よりもずっしりきた。
最初から最後まで攻めてるなぁ~といった印象。

ただ、少しリアリティに欠ける。
役所の福祉課に行って相談したわけでもなく、職安で仕事を探すわけでもなしに妹を使って生活費稼ごうだなんて短絡的過ぎやしませんか?
いろんな所に行って相談した結果こうするしかなかったんですよ!ってことなら、必死に職を探したり社会資源を活用しようとする前向きな兄貴も見せてくれなきゃ、説得力ないし感情移入できない。
友達も、「お前は足が悪いんじゃなくて頭が悪いんだよ!!」なんて怒鳴るんだったらもっと建設的なアドバイスしてあげようよ。確かに頭悪い、つか悪すぎると思うけどさ。


一方で、妹は売春を通じてセックスの快楽を覚え、ほぼ依存症のようになっていく。
喜んで“仕事”をしているので、まだギリギリ観ていられた。だから兄も罪悪感に押し潰されずに続けられたんでしょう。
それに、兄は、妹が幼い頃に自慰行為をしているのを目撃しているから妹の性欲が強いことを知っているし、それを充たせないでいることの不憫さを多少なりとも感じていたという心理的背景もあったように思う。

売春で性欲を充たす妹と、
妹の喜んでいる顔を見て、罪の意識から目をそらし続ける兄。
親に捨てられた、二人の兄妹。

今後の二人は、どうなっていくのか。
最後の着信は、「継続」なのか、それとも「救済」なのか。

なんともやりきれない余韻が残る。
キャサリン子

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