KnightsofOdessa

牧師の未亡人のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

牧師の未亡人(1920年製作の映画)
3.0
[やっと牧師になれたのに、その条件は前の牧師の未亡人(婆さん)と結婚すること?!、ドライヤー未公開サイレント②] 60点

ドライヤー監督二作目。どんな厳つい映画かと思ったら、彼の作品群の中でも貴重なコメディ映画だった。中盤まで"婆さん早く死なないかな"とヘイトを貯める一方、ラストは結構しっとり系で改めてドライヤーとの相性が良いことを知ってしまった。(「グロムダールの花嫁」を先に見たからそっちも参照)

神学生ソフレンは長らく牧師になれなかったが漸く牧師に選出される。これで恋人のマリとも結婚できるとなったとき、職務の一環で前の牧師の未亡人マルガレーテと結婚が求められた。彼女はソフレンの祖母ほどの年であり地域の人々からは魔女と呼ばれていた。マルガレーテの歓待を受けたソフレンは差し出されたニシンと酒に酔って見た幻想により彼女との結婚を承諾する。マルガレーテが死んだらマリと結婚しようという計画だ。そして、マリを妹と偽って司祭館に住まわせる。年月を経てもマルガレーテは中々死なない。マリと触れ合おうにも不運が邪魔をする。ある日、マルガレーテの小言にうんざりしたソフレンは二階への梯子を外す。すると、マリが誤って落ちてしまう。日夜マリを看病するマルガレーテに母親に対する情のようなものを感じていたソフレンだが、ここで彼女は衝撃の告白を始める。彼女の最初の夫も前の牧師の未亡人と結婚したのだった。ソフレンとマリはマルガレーテと和解する。やがてマルガレーテは亡くなり、ソフレンとその妻となったマリはマルガレーテの墓前で正しく生きることを誓うのだった。

後期ドライヤー作品に見られるクローズアップが少なからず盛り込まれているが、興味深いショットは酔っ払った時のボンヤリ霧の掛かった幻想ショットくらいだった。物語としても「グロムダールの花嫁」が最高に純化&ミニマライズされた作品だったのに対し、本作品は字幕はちょいと多めでテンポも若干緩慢なのは否めない。ただ、冒頭にも書いた通りラストの結びはキレイだったから私は満足したよ。

てか、教会って寝てるやつ起こす棒があるんだね。寝る前提になっててめっちゃウケるわ。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa