きよぼん

ダンスウィズミーのきよぼんのレビュー・感想・評価

ダンスウィズミー(2019年製作の映画)
4.8
高校野球が人気があるのはなぜか?レベルが高いほうを人は観たがるというのであれば、みんなMLBの中継みて、高校野球には見向きもしないはず。でも高校野球の人気が高いっていうのは、人が熱狂するのと、レベルだうんぬんというのは、あまり関係がないということなのです。

ミュージカル映画といえば、ここ数年「ララランド」「グレイテストショーマン」といった秀作が生まれています。技術的なことはわかりませんが、ボリュームなどは本作「ダンスウィズミー」は負けるかもしれない。でも自分の身近にいるような、あなたの心を間違いなく熱くさせる映画なのです!

ハイウエィにオープンカー、カーラジオから流れる英語のロックミュージック…ではなくて、田んぼだらけの国道を走る軽自動車の中で「夢の中へ」を大熱唱する静香(三吉彩花)にノリノリです!

映る風景、流れる曲が身近なものばかり。「ねらいうち」のレストランシーンの大暴れ、「トゥナイト」が歌われるときの雲から月が覗くような明るさ、「タイムマシンにお願い」に込められた願いに涙ぐむ。もうこれ最高ですよ。知らない国で英語で歌って踊るのもいいんですけど、いつもの風景で、自分がいつもきいてた曲だと心に響くものがちがう。

高校野球の魅力のひとつは、誰もが通りすぎた十代への郷愁。同様にこの映画は、多くの人が共有している身近で大切なものを、ミュージカルという夢の世界へとつなげてくれる。もうこれだけで最高に価値がある!だから「技術的にラランドとくらべてー」とかいうのはナンセンスなの!質的にどうこうというのと、人を熱くさせる映画はちがうの!そんなのただの郷愁じゃん、といわれても、人にとってはそれが大切なの!それがスクリーンで展開されて人に喜びを与えるのも映画なの!

変な事書いちゃったけどもう一点だけ。

催眠にかかって曲が流れると歌って踊らずにはいられなくなった静香。曲がかかってる妄想の中ではドヤ顔でビシッと決まってるんだけど、曲が止まると失敗だらけで周囲は大変…

これって、「イメージ通りにうまくいかないけど、失敗しても、周りの目気にせず自分の中のやりたいことやりゃええんやで!」というメッセージもらった気がする。個人の自己実現という意味でもそうなんだけど、今は何かやろうとしても、理屈で考えて「やめておこう」ということが多い世の中。それよりあふれる思いがあれば、もうちょっと思い切ってもいいじゃん!というんですかね。もうひとつはこの映画を観て「ミュージカル映画としては…」という批判に対して、「それよりも、作りたかったから作ったんだよ!不細工だけど、それは学習にして次にすすむことのほうが大事でしょ!」ということなんじゃないかなあと。

いや、監督意図してないんでしょうけど。


本当にいつも以上にとりとめのない文章。レベルがどうこうとかいったけど、三好彩花をはじめとするダンスシーンは素晴らしい。なによりレジェンド宝田明をたった1800円で堪能できるんだから観にいくべし。
この文章を読んでくれた人ならわかるように、筆がすべりっぱなしになるくらい多幸感を味わえる映画。
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