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彼女はひとりのryoのネタバレレビュー・内容・結末

彼女はひとり(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


自殺未遂をした女子高生澄子が自分が負を抱える原因となったコトに復讐をしていく。
澄子が負の感情のみを持つ映画の中の姿になる前は恐らく、大人が教える社会のルールと自分の感情のバランスをとりながら、負を抱えなくても純粋に生きられていたのだと思う。しかし、裏切られた父親の行動から澄子は孤独になっていく。そして”他人を尊重して分かり合って生きていく”ことが、自分の想いを隠し、他人を欺く行為に感じたのではないか。だから劇中では、自分にも向き合えず孤独に負の感情を振りまいていく。ただし、他人を理解したいという想いもほんとはあるのだろうと、父親との会話や秀明との会話、表情行動から感じた(というかあって欲しいという自分の願望もある)。
それと、幽霊や幻聴が劇中印象深く使われている。初めてこんなことを感じたが、幽霊や心霊現象的なモノは、自分の思いが、社会のルールや他人の思いとぶつかり生み出される不協和音なんだと感じた。
異常なケースに見えてしまうが、ただ高校生という微妙な年頃で、誰もが経験する自由とルールというバランスの間でフラフラしてしまうこと、それがいろんなコトが積み重なり孤独に突っ走ったら、、、というダークな青春モノといった感じ。
最後に、、主演の方の演技が素晴らしかった。特に孤独とはこういうことという表現がよかった。究極を言えば人は他人から理解されない存在であり、誰もが澄子のような部分を出すポテンシャルを持ちながら、それでも他人と生きていかなければならないという矛盾を抱える瞬間、これが孤独ということなんだと思った。
ただひとり他の人に理解されないという孤独ではないんだと、勝手に希望を抱いておく。
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