都落ちMiyaco

この世界の(さらにいくつもの)片隅にの都落ちMiyacoのレビュー・感想・評価

4.5
『この世界の片隅に』の長尺版。増えたシーンがこれまでの「片隅に」のシーンに別の意味を付加していて、新しい見方・楽しみ方ができました。こちらのバージョンを見て本当に良かったです。
とくに、リンさんや新登場のテルさんとの関係が深く描かれていて、主人公すずと呉の家族の関係、”居場所”というものに思いを巡らせるきっかけになりました。他方、お父さんの職場のシーンもいくつか増えていて、戦場ではない戦争=日々の生活・仕事がいっそう強調されています。片隅に「らしさ」が増えたと言えると思います。
終戦後すぐの大きな災害である枕崎台風(昭和20年9月)の豪雨と土砂災害も描かれ、戦争のあとにも生活が続いていること、戦争でなくとも死んでいく人があることが伝わります。「片隅に」に感じるものがあった方はぜひ「さらにいくつもの」も見てほしいですね。