バルバワ

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのバルバワのレビュー・感想・評価

5.0
嫁に今作だけは絶対に観に行くと宣言しました。
嫁「いいよ」
私「マジか!ありがとう!」
嫁「大好きな映画って言ってたもんね」
私「ありがとう!あ、ついでにスターウォーズも最終章で観に行きたいんだけど…」
嫁「30000円です」
私「は?」
嫁「『この世界の〈さらにいくつもの〉片隅に』以外にもう一本映画を観るなら一作品につき30000円になります」
私「は、はは…はははは」
嫁「…(真顔)」

…どうやら我が家では映画禁止法略して禁映法に加え映画鑑賞税略して鑑映税が課せられていたようです。
とりあえず、来週は有休があるので三本立ての隠れシネシタンしてきまーす。

いやぁ…良いッ!!!

あらすじは『この世界の片隅に』に遊廓で仕事をしているリンさんのエピソードを加え、主人公すずさんとの交流を描く…的な感じです。

『この世界の片隅に』は私にとって人生ベスト級の映画で、そこにリンさんエピソードを加えたバージョンが製作されて去年から公開をアナウンスされていたり延期されていたりとなると鑑賞するのは自明の理というわけです。←知らない

まず追加されたりんさんのシーンがあることですずさんと周作さんとの夫婦間の緊張感や実在感が増したし、今まで割りとストレートな語り口(片渕須直監督も『この世界の片隅に』はすずさんと義理の姉径子の話だったと言ってましたし)だった物語にさらなる紆余曲折やキャラクターの視点を入れることですずさんがいる世界がより多層的に感じられました。

個人的には追加された遊廓回りのエピソードは全て切なくて切なくて堪らんかったです。他には、すずさんと幼なじみの水原さんの子ども時代のやり取りは青春感増し増しでしたし、近所の知多さんや壁に貼り付いた髪の毛、戦争孤児のシーンには戦争の苦さを感じました。
また、周作さんの意外なポンコツぷりには思わず声をあげて笑っちゃいました。

あと今年の夏に『アルキメデスの大戦』を鑑賞したことにより径子の娘の晴美ちゃんが軍港を眺めながら「航空母艦がない」という台詞がこの先の日本の戦況を暗示しているように感じて味わい深くなりました。今作を2019年の冬に鑑賞することができて良かったと心から思いましたよ、ありがとう!山崎貴監督!

今作は何度鑑賞しても様々な発見があったすずさん達の世界にまた新たな発見をもたらしてくれました、なんて贅沢なのだろうと実感した次第です。
バルバワ

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