きなこ

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのきなこのレビュー・感想・評価

4.5
追加されたのがどこなのか、うろ覚えなのですが、リンさんのシーンが主ですかね。
テルちゃんもかな?

これは本当にいい作品だし、本当にすごいと思う。
ファンタジーあり、笑いありのほんわかしたテイストで、それでも戦争をきっちり描いた作品だと思う。そのバランスがほんとにすごい。
普通の、のんびりした女の子だったすずさんを通して見るからこそ、鋭く刺さる。ささやかな日常の笑いや暮らしぶりが丁寧に描かれるからなおのこと。
私は、テレビや映画や本でしか戦争を知らない世代だけれども、その中にいたのが普通の人たちだったんだな、っていうことに打ちのめされる感じがする。
戦闘機の中にも、軍艦の中にも、防空壕の中にも、私たちと何も変わらない、普通の人たちがいたんだと。
普通の暮らしの中に当たり前のように戦争が共存していたんだと。
その大きすぎる影響を、戦場でなく普通の暮らしを通して見せてくれる映画ですね。

戦争をリアルに語り継ぐ世代が減っていく中、こういう作品が残っていくことに意味を感じる。小学生だった頃戦後50年、と騒いでいたけれど、その頃定年前の先生たちの中にも戦時を生きていた人がいたということなのか。
過去になることは悪いだけではないけれど、忘れてはいけない出来事なんだとは思う。
この映画はきっと、後々まで残るだろうし残ってほしいな。

周作さんとすずさん夫妻が好き。
リンさんが絡むとこんな感じなのね。
前作もだけど、水原くんのパートがかなり切ないです。鳥の羽を見たときに、すずさんを思い浮かべたのかな〜と思うと切ないし、周作さんの気遣いも切ないし。
水原くんのように、普通なすずさんに安心する気持ちってわかる。普通で居続けることは、どんなにか難しかったんだろう。
更にはそんなすずさんでさえ、ボーッとしたままではいられなかった、と嘆く、あのシーンにはまた泣かされた。

戦争が始まる前の日本は、本当にいい時代だったんだよ、と祖母が確か言ってたのをふと思い出した。

あの日のオルガンまた観たいな。

2019-116
きなこ

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