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この世界の(さらにいくつもの)片隅にのmitoのレビュー・感想・評価

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今年222本目。
3年前に公開された片渕須直監督の「この世界の片隅に」に大幅なシーン追加をして再構築した作品。
具体的には前作では詳細に描かれなかったリンさんの描写が原作ベースになっていたりと、数十分もの追加シーンが用意されている。

追加シーンの影響は非常に大きく、映画の雰囲気やテーマ性さえ変わっているかのように見える。
前作は、すずさんの心情や描写にフォーカスした原作エピソードのチョイスが成されており戦時中広島を生きた一人の少女の物語として作品が構成されていた。
対して本作は追加シーンの殆どをすずさん以外のエピソードで固めている。するとどうだろう、すずさんの物語が、広島に生きた人々の物語に見事昇華する。

原作にもあったリンさんは当然の事、脇を固めていた登場人物の僅かな追加シーンがあったりと…でも、そのたった数分数秒の追加があるだけで、その人物の人間味が更に深くなる不思議。

多くの人が言っているように、これはただの完全版ではない…そんな作品でした。
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