シュウ

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのシュウのレビュー・感想・評価

4.8
前作にリンの物語が追加されたロングバージョン
前作も素晴らしかったがリンの存在が加わったことで、すずの内面に複雑さを与え、それに呼応して人間の持つ複雑さが加わったより素晴らしい作品になった

戦時下を生きた市井の人々から私たちが学ベること

人はどれだけ強く、どれだけ脆いのだろう
人はどれだけ気高く、どれだけ愚かなのだろう
人はどれだけ自分勝手で、どれだけ自分以外の存在を想えるのだろう

人の成長とは内面にもつ複雑さの両極に振られながらも、
どちらかに飲み込まれず、どちらかだけの正当性を振りかざして単純化せず、
両極を内包しながら、良き方向に物事を進めていく力強さを持つことなんだろう

自分自身の中にある複雑さを許そう
人間の複雑さを愛そう
色々なことを抱えながらそれでも前に進んでいこう

生きることそのものに知恵が必要であり
生きることそのものが力強かった時代
文明の進歩によりそこに対して使う必要がなくなった私たちの知恵とエネルギーは
一体何に使われているのだろうか
自分は何に知恵とエネルギーを使っているだろうか

この時代を生きた人達の望む世界に向かえているだろうか
この時代に亡くなってしまった人達が生きたかった世界に向かえているだろうか

今年一年の問いかけとしたい
シュウ

シュウ