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リオ・グランデの砦のKuutaのレビュー・感想・評価

リオ・グランデの砦(1950年製作の映画)
3.5
十分面白いが他のフォード作品と比べると散漫な印象。

「アパッチ砦」「黄色いリボン」は、名も無い騎兵隊がチームとなっていく、無形の連帯がアメリカを形成する…という軍隊を軸にした話だったが、今作は家族もの。

音信不通だった息子が、ウェインの仕切るリオ・グランデの砦に配属される。不仲となっていた妻(モーリーン・オハラ)も息子を心配してやってくる、という導入。

・息子と目線を合わせないウェイン。2人は軍規を介してしか会話せず、ウェインはフレームの外から見守るばかり。息子が去った後、彼のいた場所に立って身長を比べるシーンが微笑ましい(背丈を巡る演出はアパッチ砦でもやっていた)。親子がラストの「弓矢」で繋がる演出、ラストのモーリン・オハラの日傘クルクルも良い。

・馬のアクションもいつも通り素晴らしい。特に序盤のローマ式乗馬。走り回るだけでなく、柵まで飛び越えるとは…。走りながら他の馬車に飛び乗ったり、直前で倒れた人の上を別の馬が飛び越えたり。馬や馬車を倒して盾にするのも面白い。早回しが露骨に見える場面があったのは気になった。

・川で洗濯する女、土埃を上げる騎兵隊といった情感あふれる映像。暗がりからスーッとモーリン・オハラが現れる場面は「わが谷は緑なりき」のような美しさ。敵陣のど真ん中に突入し、そのまま教会に入る場面、状況設定の上手さが光る。

・1番の不満は合唱シーンの多さ。棒立ちで聞く場面が多く、話が止まるなあと。歌詞がウェインやモーリン・オハラの心情を語っているのだけど、フォードなんだからアクションで描いてほしい。フォード的な演出の濃密さが薄れているし、インディアンの歌との対比も効いていない。

また、インディアンが書き割り的な悪役になっているのも物足りない。他の作品だともう少し良いバランスで描いていたと思うのだけど。70点。
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