くりふ

インパクト・クラッシュのくりふのレビュー・感想・評価

インパクト・クラッシュ(2017年製作の映画)
3.0
【海の底でもやっぱ、歌が武器なのね】

邦題は聖林B級映画風だが純然たるインド映画。DVDスルーとなった潜水艦アクション。このジャンルの新作はインド初か!?というくらい珍しい、らしい。

1971年、第三次印パ戦争中に勃発した、両国で全く言い分違う、ある艦艇沈没事件を元ネタにしており…真相藪の中、をいいことに?割と自由に?いかにもインドらしき娯楽サブマリン映画に仕立てています。

始めインド軍の隙だらけ描写と、前半主人公たるインド側艦長のホント軍人かよ?な問題行動に脱力するも、水面下印パ両艦の頭脳戦炎上に従いプチ燃えます。

リアルな軍事映画は期待せず、インド脳に切り替ればハラハラと潜れます。ホントにこんなコトで戦ってたん?と疑問大いに湧く一方、そう来るか!との意外性は意外と豊富。

…歌か、底でソコで歌うんか!

…最後は国威発揚こってりなので、消化には要注意。戦死を同志愛にスリカエりゃ、パ側いくら殺してもかまへんわ!な大らかさが、いかにもインド脳向けでした。

オマケの如く湧いてくる、女優さん艦内盛りも漢らしい山っ気ですが、このタープシー・パンヌさん、美女ってわけでもなく、華を添えているかは微妙。役どころも取ってつけたようで、魚雷外してますな。

制作は自主映画のように始まり、『バーフバリ』のバラーラデーヴァことラーナー・ダッグバーティの出演が決まった後は、予算も大幅に増えたそうで。

CG含め、ビジュアル面では中々頑張っていますが、閉塞感強烈な一方、大海の広がりは皆無。プールで撮りました感、ド濃厚。

ラーナーさんは軍人役だし、『バーフバリ』よりカナリ薄味でしたが、終盤に向け、高いらしき出演料に見合った活躍はしてくれました。やっぱりこの人でこの役どころだと、最後はヒーローにならないと採算合わないのでしょうね。

…しかし、70年代印パの魚雷って、ホントに鈍行だったんですねえ。

<2018.10.16記>
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