てつこてつ

目撃者のてつこてつのレビュー・感想・評価

目撃者(2017年製作の映画)
3.0
殺人事件の目撃者が殺人犯に狙われるストーリーってのは古今東西の有る有るではあるが、普通は美しい女性ヒロインを設定したほうが映画作品としては成功しやすい。

が、今作では、あえて中年のオジサンを主人公にしたアイディアも、そして、名優イ・ソンミンがこの役を引き受けた事も凄いし、冒頭の女性が殺人鬼に金槌で殴殺される一部始終を目撃する主人公のカット割りや撮影手法も凝っていて、見応えがないわけではない・・。

が、それ以上の突っ込みどころが多すぎて・・。

主人公が殺人を目撃した後に犯人に顔を見られてしまった事を認識しながらも何故に警察に通報しなかったのかがどうしても合点がいかない。自分の妻と娘を守るためと言う主張も、あんなに冷酷に残酷な行為をする殺人犯が、警察に黙っていたら見逃してくれるという根拠がどこにあったのか? 二度目の殺人を目撃した後ではなおさら・・。

名脇役キム・サンホに人情味ある刑事役をキャスティングしてはいるものの、後半の脚本の展開が、いかに韓国警察が無能であるかを恣意的に強調し過ぎており、彼の良さが全く活かされていない。

そもそも、若くて体格も大きい殺人鬼に対して、腕っぷしに自信があるわけでもないオジサンが一人で立ち向かっていくか?

また、冒頭から犯人の顔を結構ハッキリと見せており、よりによって、そのキャスティングがイケメン俳優の部類に入るクァク・シヤンっていうのも、狂気の連続殺人鬼像としては役不足。

それでも、凝ったカメラワークやクライマックスの土砂降りの雨が降る中での山中でのアクションなど、それなりに見どころはあったので、まあ、韓国映画ファンなら、見ても時間の無駄・・とまでは思わない。
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