念願の高級マンションを買ったサラリーマンがマンション前で殺人を目撃してしまう。
犯人に灯りの窓から部屋の位置を確認されてしまう。
被害者や社会正義を想えば警察に証言すべきだが、部屋を知られたから報復されるかも知れない、自分には愛する妻と娘がいる。どうすれば!?
この主人公のおっさん、目撃前の描写で分かるようにしてるんだけど、倫理や道理より自身の安全、保身だけを優先して生きてきた男なんで、当然警察には黙ってるんだよ。
しかし、殺人鬼はおっさんの性格なんか知らないから、彼をの口を封じに再びマンションに。
おっさんと殺人鬼のハラハラドキドキのサスペンス笑
全体にヒッチコックの影響を感じた。マンションの上層階から殺人を見てしまうとことか"裏窓"みたいだったし。
ある日平凡な男が災難に巻き込まれるって設定もヒッチコックによくあるし笑
殺人鬼は有能で行動力のある合理的なやつなんで、おっさんの他に殺人を認知した下の階に住むおばさんをサクッと殺る。
で、おっさんは偶然、殺人鬼が死体処理してる現場(おばさんの部屋)を目撃してしまう、またかよ笑
当然、次の標的は自分と家族になる。そしてかなり本人も家族も危険なことになるんだけど、追い詰められながら、そして2つの殺人の目撃を隠してる疚しさに苛まれながらも、なっっっかなか警察に口を割らない。
一人の刑事は監視カメラ等の調べでおっさんが目撃してると確信して、何度も問いただす、しかも刑事は犯人に目星をつけてる。後はおっさんの目撃証言あれば逮捕に踏みきれるのに、、
ヒッチコックはサスペンスで重要なのは、何故、警察を頼らないのか?、って疑問を与えないスピード感のある演出だと言ってる。
この映画もそれは分かってるんだろうかど、中盤辺りから、いい加減サツに頼れや、と思いたくなるぐらいモタモタしてくる。
監督はヒッチコックほど天才じゃないってことだね笑
でも、おっさんが言えない必然性はけっこう説得力あるを描写している。
まず、前半にしっかりおっさんが昇進欲得とした利己的な小心者だって分かるように撮ってること。
もう1つはこのマンションの気風。
かなり高級な大型マンションなんで住民も小金持ちばかり、日本で云うと年収1500万以上の人ばかり。
なので、選民意識とエリート意識が凄まじい、自分等成功者が住むマンションで殺人があったなんてもっての他、ましてはマスコミに騒がれ好奇の目で見られて屈辱感を抱いてる。
しかも被害者がマンションの人間じゃないから、警察に協力して騒ぎ多くするより、沈黙してください。みたいな誓約書まで回ってくる始末、、
住民が殺人現場を見て「関係ない人にこんなとこで死なれて迷惑だ」的なこと言ってるシーンもある。
小心翼々が服を着てるようなおっさんがこんな排他的で酷薄な空気が蔓延した状態で本当のこと言えなくても仕方がないな、とは思える風にはなってる。
この辺はどんな映画にも社会的軋轢や欠陥の問題提起をぶちこんでくる韓国映画の伝統、地肩の強さを感じた。
韓国の金持ちって人非人だな、なんて一瞬思ったんだけど、この金持ち住民どもの排他性、なんか似ようなの見たことあるなって思った。
ちょっと前に話題になった青山の児童相談所問題だよ!
「一等地に問題児童の施設は似合わない」「青山ブランドに傷がつく」だの、醜い選民意識を爆発させてたよ。
この映画のマンションの住民達とまったく同じだ笑
まったくふざけてる。お前らが一等地に優雅で暮らせてるのも高級マンションに住めるのも、社会構造の不平等のお得になる方の側にいたにすぎない、自分の努力?それが実を結んだのも運がよかったにすぎない。一歩間違えば高級マンションの中庭で殺人鬼に殺されたかも知れないし、児童相談所の保護がなければ生きられない親の子供になっていたかも知れねえんだよ!
どうあがいても社会は1つの船だから船内で起こる問題を他人事と無視し続け、問題の中で苦しんでる人間を嘲笑し見下していると、やがてその問題は自分には降りかかる。
そんな人間らしい想像力もないくせに、金があるだけで上等な人間ヅラしてんじゃねえよ💢
「報いを受けろ、このクソ野郎!」©️JOKER
色々詰めが甘く散漫なとこも少なくない映画だけど、サスペンス好きで金持ち嫌いな自分には合ってた笑
荒ぶってさーせんでした🙇♂️