maro

mid90s ミッドナインティーズのmaroのレビュー・感想・評価

4.0
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:30/120
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★★☆
    音楽:★★★★☆

俳優のジョナ・ヒルが初監督・脚本を手掛けた映画。
彼が少年時代を過ごした1990年代半ばのロサンゼルスが舞台になっていて、彼の半自伝的な要素も入っている。

1990年代半ばで13歳という時点で、この主人公の少年は僕とほぼ同じ年だということがわかる。
(現に監督は1983年生まれと1歳違いだ)

僕と年齢が近い人や90年代にノスタルジーを感じる人なら楽しめるかもしれない。
なぜなら、僕とは生まれた国も違うし育っている環境も全然違うのに、とてつもなく懐かしい気持ちにさせてくれるからだ。

90年代という時代がそう思わせるのか、それとも13歳という多感な年齢がそう思わせるのかはわからない。
しかし、男なら共感できるポイントは大いにある。

小・中学生の頃って、ちょっと年上のお兄さんお姉さんに憧れたり構って欲しいときがあるんだよね。
僕は第一子かつ長男だったので家庭ではそれはかなわなかったし、学校が遠かったので地元にそういう人もいなかった。

でも、学校の上級生だったり、教育実習生だったり、親戚のお兄さんだったり、親ほど歳が離れていない年上の人といっしょに遊びたい欲があったのは覚えている。

作中のスティーヴィーは、地元のちょっとヤンチャなスケボーグループに入るんだけど、そこで大人の階段を上り始める。
初めてのお酒、初めてのタバコ、初めてのクスリ、初めての女性。
まだあどけなさの残るスティーヴィーが少しずつ大人の味を占めていく過程は、褒められたものではないにせよ微笑ましく感じる。

僕のまわりにはそういうグループに該当するものはなかったし、悪そうなヤツらも大体友達にはなれなかったので、日本に同様の環境があるかはわからないけど、多分当時だと渋谷とか池袋にたむろしていた人たちが近しい存在なんじゃないかなー。

そして、この映画は設定が90年代半ばということもあって、当時の雰囲気と感覚を再現するため全編16mmフィルムで撮影されたというこだわりも見どころだ。
映像のアスペクト比や色調などもレトロに仕上がっているのがさらに懐かしさを後押ししてくれる。

また、この映画では使用されている音楽もいい。
ニルヴァーナ、ピクシーズ、モリッシーなど当時のヒット曲が目白押しだ。
僕は洋楽を聴かないので、正直どれも聴いたことがなかったのだけれど、そんな僕でも映画の世界観とマッチしているというのは感覚でわかった。

今回、主人公のスティーヴィーを演じたサニー・スリッチは15歳にしてプロのスケートボーダーかつ俳優。
彼の整いすぎた顔立ちとピーター・オトゥールを思わせる目の青さはまさに美少年と呼ぶにふさわしいビジュアルだった。

そして、兄役を演じたルーカス・ヘッジズ。
彼もこういう青春系の映画ではよく見かけるけど、毎回いい演技を見せてくれる。

大きな目的とかドラマチックな展開とか、そういうのがあるわけではないけれど、90年代半ばを生きた多感な年頃の少年の青春物語は妙に心地よい。
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