TaichiShiraishi

mid90s ミッドナインティーズのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます


ジョナ・ヒルの思春期真っただ中の時代のあこがれとリアルを詰め込んで、笑いと音楽と映像センスでコーティングした1本。85分でスパッと終わらせている点にまず好感を覚える。

リアルにいそうなキャラクターたちを誇張することもなく自然体のままとらえている。会話がいちいち心地よく適度に笑えて、愛おしいし、背伸びしようとしていたあの頃が思い出された。

主演のサニー・スリッチのエドワード・ファーロングを少しやぼったくしたような可愛いけどあの年にして少し色気もあるたたずまいも素晴らしいし、その他の演技初体験の少年たちも見事な実在感だった。

教訓的な成長譚でもなく、一定の距離を保ちながら思春期の少年が良くも悪くも大きく変わって、兄を筆頭に周囲の人間の見え方まで変わってしまう過程を描いている。

全体的にあっさり風味だし筆者は90年代半ばは物心ついたばかりでこの空気感を最大限楽しめる世代ではないのでそこまで高得点にはできないが、誰でも一定以上は笑えるし、全体の水準は高いし、一部の層には深く刺さるだろう。

ジョナ・ヒルの次回作はぜひ見たい。ただ不必要な児童ポルノ的シーンはどうにもいただけなかった。
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