エス

mid90s ミッドナインティーズのエスのレビュー・感想・評価

4.1
本当に良かった……
まず初めに、生憎この映画の価値に見合った語彙力を持ち合わせていないので、とにかく観に行って欲しい……という気持ちです……

多感で繊細な思春期真っ只中のひとりの男の子にフォーカスを当てた、ドキュメンタリー映画のような質感だったり、魅力的な登場人物等、身に起こる様々な出来事やそれを受けての心情の切り取り方、関わりの中で生まれる愛、全てがそこに存在していて、すごく眩しくて脆かった。

注目すべきはその表情たちで、スティーヴィーの最初の無垢でどこが淋しくも好奇心に満ち溢れている姿は何よりも尊かったし、仲間として輪に馴染んでいく瞬間の嬉しさだったり、はたまた感じたこと伝えたいことが山ほどあるのに、段々と塞ぎ込む感じは自然と共感を呼び、何となく懐かしくもあったり。これぞ青春なんだろうな…… この作品の中では多くの言葉は要らないとまでいえてた。

そして最も良かったのが最後。本当に秀逸でそれまでがこの数分の為の前戯だったと感じる程に痺れた。だいすき。

もうひとつの魅力はレイの芯の強さ。見かけから不良と一蹴りしてしまえば楽なんだけど、そうじゃない。失うことで得れる強さみたいなものを魅せてもらった。責任感も人一倍大きかったし、こんな根強い人情味に溢れた人そうそういない。感謝を口にすることはマナーだって言ってたときはほんとにキュンと来ちゃった。その後、関係がどうなったとしても、スティーヴィーにとって彼等との経験は素敵な出逢いであったことは間違いないと思います。

受け取るものも多かったし、帰り道に考える事も沢山あり、映画そのものの良さを久々に身に染みて実感した。

こんなにキラキラしてるとされる世代に所属しているのに、憧れとコンプレックスだけをずっと抱えて、自分は何やってるんだろう?
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