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砂塵のmasayaanのレビュー・感想・評価

砂塵(1939年製作の映画)
4.4
これは文句なしに良かった!

砂塵と言えばニコラス・レイの『大砂塵』もすごかったけど、こちらの『砂塵』もなかなかのもの。酒場を中心に展開する映画らしく、とにかくご機嫌で、景気が良く、人は多くの場面で踊り、歌っている。チミノが『天国の門』で更新しようとしたものはこういうハリウッド映画だったのかも、というくらい、たくさんの人、人、人、が楽しげにやっている。それを観ているだけでも楽しい。

町を牛耳るギャングと、その情婦(酒場の華として歌っている)、買収済みの町長に、適当に飼いならすために選ばれたダメ保安官・・・。いずれも西部劇においてはスタンダードな、われわれがとてもよく知っているお馴染みの人たち、という印象だが、そこに乗り込んでくる新参者の保安官助手のデストリー(ジェームズ・ステュアート)が新鮮な印象を残す。

というのも、彼は伝説の保安官の息子なのだが、父親が悪党に背中から撃たれて死んで以来、銃を使わぬ統治を目指しており、射撃の練習よりも手芸などの趣味に勤しむ変わり者の男なのである。おまけにおしゃべり好きで、これには藁にもすがる思いで呼び寄せたダメ保安官もガッカリ、町の男たちは彼を良いように笑いものにする。彼もそれに応えてヘラヘラしてみせたりする。

とは言え、理詰めで町の暗部を暴き、知性と理性だけでもギャングに勝てる算段を付ける当たり、三枚目のジェームズ・ステュアートにはかなりのハマり役で、脚本はよくできている。しかし彼の勝利の方程式にケチがつき、デストリーが「再び(銃を手に)立ち上がる」方向へ展開していくのだが、同時にギャングや町長に鬱憤をためていた町民たち総出の大乱闘ともなり、最後はめちゃくちゃ盛り上がる。