ほーりー

砂塵のほーりーのレビュー・感想・評価

砂塵(1939年製作の映画)
4.4
1939年は、「駅馬車」「大平原」「砂塵」といった作品が公開され、それまでB級あつかいされていた西部劇が一気に花開き、再び表舞台に立つようになった記念の年というイメージがある。

さてその「砂塵」(コメディとしても面白い)であるが、まず西部劇のイメージから最も縁のないスター2人を配役したのが素晴らしい。(ジミー・スチュワートはそれまで西部劇に出ていなかったはず。戦後はすっかり西部劇の主演スターになりましたが)

場末の酒場の男勝りの歌姫マレーネ・ディートリッヒと、一見頼りなさそうな副保安官のスチュワートという組み合わせも珍しいが、この2人のキャラクター造形が良く出来ている。

中盤、ディートリッヒが繰り広げる大乱闘が凄まじく、「居酒屋」のマリア・シェル(おっとこの人も同じドイツですな)級の暴れっぷりを見せてくれる。特に怒りにまかせて、銃をジミーにつきつけるシーン。そりゃ周囲の人間もビビって逃げ出すわいなという鬼気迫る演技である。

一方のジミー・スチュワートは、西部劇の主人公としては異色中の異色の人物。うらなりという言葉がピッタリなぐらい一見頼りなさそうだが、銃を持てば百発百中、頭は抜群によく、腕っ節も強く、これ以上申し分のないぐらい完璧なキャラクターである。
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